BUILD

職人のためのライフスタイルメディア

2022/12/25更新

ニッカポッカが禁止!?着用を禁止する現場が増えている理由とは

仕事

 
最近では鳶職人だけでなく、ファッションアイテムとして履いている人も多くいるニッカポッカ。

有名人が私服で取り入れていたことや、作業着で有名なワークマンが世間に広まったことから「作業着」や「ニッカポッカ」は昔より身近なものになりました。

しかし今、ニッカポッカを禁止とする作業現場も増えています。実際にニッカポッカ禁止の現場で働いたことがある人もいるのではないでしょうか?

今回は、ニッカポッカがどういった理由で愛用されていたのか、禁止される理由について考えていきます。
 

ニッカポッカのルーツとは?

ニッカポッカのルーツは、ニッカーボッカーズというズボンです。

ニッカーボッカーズとは、ひざ下の長さで裾が絞られたズボンのことで、ゴルフや登山、乗馬などで着用されるスポーツウェアとして広まりました。

現在日本では、土木・建設工事の現場で働く作業員の仕事着「ニッカポッカ」として広く知られています。

ほかにも、江戸時代の職人の作業着であった股引や、忍者や行者が着用していた裾が絞られた着物がルーツだという説もあります。

ニッカポッカは七分丈が主流だったため、七分(しちぶ)などと呼ばれることもあります。
 

なぜ現場で愛用されるのか

 

 

作業現場での仕事着としてのイメージが強いニッカポッカですが、どのような機能があり愛用されているのでしょうか?
 

動きやすい

まず一番に動きやすさです。

太ももからひざ下にかけては、幅広くゆったりした作りになっているため、作業中も柔軟に動くことができます

ひざ下で裾が絞られているため、作業の邪魔にもなりにくいです。

また、常に体を動かして働いている作業員は、季節関係なく汗をかきます。

汗をかいてズボンが足にまとわりついては、動きにくいですよね。

一見動きにくそうに見える形ですが、実はこのような様々な面で作業中の動きやすさに優れています。
 

危険を察知し、怪我を防ぐ

ニッカポッカの幅広さは、危険を事前に察知し、怪我を防ぐという役割も果たしています。

高所や危険物の多い作業現場で、障害物に足を取られて転んでしまっては命取りになりかねません。

ニッカポッカの裾が体より先に障害物に当たることで、直接足を取られることを防ぐ役目を果たしています。

ほかにも、火花が散ったときに、ズボンからダイレクトに熱が皮膚に伝わって火傷するのを防いだり、裾が絞られていることで、靴や服の中に危険物が入り込むことを防ぐ役割もあります。
 

ニッカポッカ禁止の現場が増えている!

 

 

現場で働く作業員の体を守り、作業効率をあげるニッカポッカですが、着用禁止の現場が増えています。

その理由について、足袋も禁止されている現状と合わせて見ていきましょう。
 

禁止される理由とは?

大手のゼネコンを中心に「印象が良くない」という理由から、ニッカポッカではなく平ズボンの着用が進められています。

厳しい現場では、平ズボンを着用していないと現場に入ることができない場合も。

世間から見たニッカポッカのイメージについて、

「手に職を持っている感じがかっこいい!」
「危険な現場で働いているのはすごい、応援したい」

というプラスなイメージもあれば、

「怖いイメージがあり、距離を置いてしまう」
「ガラが悪く見えて好きではない」

というマイナスイメージを持っている人も一定数います。

また、イメージの問題だけでなく、大きく広がっている裾が危ないという声もあります。

危険を察知したり、怪我を防ぐと言われるニッカポッカならではの広い裾ですが、それが原因で転倒してしまうこともあります。
 

足袋も禁止されている?

さらに、ニッカポッカと併せて鳶職人に愛用されていた足袋も禁止されることが増えています。

足先に重いものを落として怪我をしないように、鉄のプレートが入った安全靴の着用が義務付けられる現場が増えているからです。

人によっては「足袋の方が力を入れやすい」「足先が重くて動きにくくなった」と感じることもあるようです。
 

増えてきている平ズボンの現場

ニッカポッカに代わって増えてきている平ズボンですが、最近では機能性に優れたものが多くなっています

通気性が良く、熱がこもりにくいものだけでなく、火や熱に強い素材や、制電性の素材が使われていたりなど、とても高機能です。

動きやすさや耐久性もニッカポッカに劣りません。

また、安価でサイズのバリエーションも多いことを踏まえると、ニッカポッカ以上に実用性があると言えるでしょう。

ニッカポッカを履く人が少なくなってきている原因は、安全面、イメージの問題だけでなく、昔に比べ作業服の機能が充実してきたという背景もあると言えます。
 

時代とともに作業着も変化する

安全面や建設業界に対するイメージから、古くからのスタンダードにも変化が訪れていることがわかりました。

安全性やイメージを重要視する風潮は、より強くなってきています。

世の中の変化に合わせて、今後職人の仕事着も変化していくのかもしれません。

 
 

Pocket   はてブ   保存

この記事を書いた人

BUILD編集部

BUILDのSNSをフォローして
最新情報をチェックしよう!

のSNSをフォローして
最新情報をチェックしよう!