2023/06/26更新
【躯体工事】鉄筋・型枠・コンクリート工事ごとの管理ポイント
仕事
建築工事の際、ほとんどの場合に行われる躯体工事。
建物を建てる上でとても重要な工事で、専門的で幅広い知識が必要となります。
躯体工事は大きく分けると、鉄筋・型枠・コンクリートの3つに分類されます。
今回はそれぞれの工事をする上で、必ず守らなければならない管理ポイントを工種ごとに解説していきます。
目次
鉄筋工事における管理ポイント
鉄筋は、組み立て完了後にコンクリートに埋め込まれる構造物であり、建物完成時には目には見えなくなります。
そのため、コンクリート打設前には、設計図書通りに配筋されているかを検査し、記録に残すことが大切です。
また鉄筋工事は、設計図書に記載されている材料を指定された部位に使用しなければなりません。管理ポイントが多く、複雑な専門知識が必要となります。
鉄筋の知識を深めるには、設計図書の中の「構造図」を読み込むと効率が良いでしょう。
構造図を読み取れるようになれば、全ての鉄筋の組み上がった状態をイメージできるようになります。
鉄筋の組み立て順序
鉄筋の基本的な組立順序は「柱 → 梁 → 壁 → 上階床」の順で、それぞれ手順が異なります。
また、躯体の形状により、鉄筋・型枠の組立順番が異なるため、関係協力会社で詳細な打ち合わせを行うことが大切です。
継手について
鉄筋工事において特に重要とされる作業「継手(つぎて)」とは、鉄筋同士をつなぎ合わせることです。
鉄筋は運搬や組み立てしやすい長さになっているため、建物を立てる際に継手で必要な長さにする、必須な作業となります。
例えば30mの建物を建てる場合、柱の長さは30mとなり、その長さの鉄筋を工場で生産してそのまま使用するのが一番手間のかからない方法です。
しかし、30mの鉄筋をトラックに積み込み運搬することや、長い鉄筋を扱う人のことを考えると、現実的ではありません。
このような場合は一般的に、30mの鉄筋をいくつかの長さに分割したものを現場に搬入し、現場でつなぎ合わせる手法がとられています。
継手には、ガス圧接継手・機械式継手・重ね継手・溶接継手など、いくつか種類があり、設計図書で指定されています。
型枠工事における管理ポイント
型枠は、建物完成時には無くなる仮設物であり、設計図書には記載されていません。
設計図書に記載されているコンクリートの体積寸法から積算を行うため、図面を読み込む力が大切です。
図面を読む際には、寸法の記載の仕方について特に注視しましょう。
記載された寸法は、柱を示しているのか、壁を示しているのか、通り芯についてはどうか、などの点に注意します。
ほかの人に図面を渡す際も、事前に確認するようにしましょう。
型枠の構成
型枠は、せき板・桟木・単管パイプ・バタ角・パイプサポートなどにより構成されています。
コンクリート打設時に、万が一にも崩壊してしまわないように、しっかりとした強度計算を行うことがポイントです。
強度計算
型枠の強度は、せき板の厚み・単管パイプのピッチ(間隔)・バタ角のピッチ・パイプサポートのピッチによって決まります。
指定のコンクリート重量や、作業時の衝撃荷重・安全率等を掛けて算出した荷重が問題ないことを確認しましょう。
また「型枠を転用していくうちに強度低下により崩壊した」などの事例も多くありますので、適宜型枠の状態を確認するようにしてください。
積算
現場に搬入される型枠は、専門会社が事前に設計図書を読み込み、工場に製作指示を出します。
コンクリートの体積寸法に対し、せき板の規格品をできるだけ無駄なく加工することが重要です。
切り無駄が発生するとコストロスになるため、しっかりとした積算を行いましょう。
組み立て精度
型枠の組み立て精度はとてもシビアで±5mm程度が標準です。
専門会社には高い技術力が求められ、まさにプロフェッショナルの仕事と言えます。
コンクリート工事における管理ポイント
コンクリート工事は躯体工事の集大成です。事前に作成された型枠にコンクリートを流していきます。
コンクリート工事は「積算 → 発注 → 受入検査 → 打設 → 養生 → 強度確認」と工数が多く、すべての工程を管理する必要があるため、非常に大変です。
何度もコンクリート打設の管理を行ったことがある筆者も、最初は段取りの大変さにとても苦労した記憶があります。
各項目で管理するべきポイントが多くあるので、代表的な部分を解説しましょう。
積算
積算時は、設計図書からコンクリートの寸法を確認し、図面や表に数量を控えておきます。
この際に、大雑把に積算を行ってしまうと、コンクリート打設時に足りなくなることがあります。
工場の出荷予定数量を超えてしまい出荷できない、ということもありますので注意が必要です。
発注
積算が完了すると、プラントにコンクリートを発注します。
コンクリートを発注する際は、コンクリートの打設日時、打設数量、打設箇所、配合をコンクリートプラントに連絡する必要があります。
遅くとも一週間前までには発注し、打設前日には予定通りに進められるかを双方で確認しましょう。
受入検査
コンクリートが現場に到着したら、最初に受入検査を行います。
コンクリートの受入検査では、コンクリートのスランプ・温度・配合・空気量などに問題ないことを確認します。
確認後に、現場でのコンクリート打設が可能となります。
検査をしている間にもコンクリートがどんどん硬化していってしまうので、検査はスムーズに進めることが大切です。
打設
コンクリートの受入検査を終えたら、いよいよコンクリート打設を行います。
コンクリート打設の管理ポイントは非常に重要かつ大変なので、コンクリート打設関係者を集めて事前に周知をするといいでしょう。
特に、コンクリートの締固めについては、打設後硬化する前に適切な感覚でバイブレーターなどで行い、狭小部分までしっかりコンクリートが充填されたことを確認しなければなりません。
コンクリートの充填不足は建物の強度不足に直結するため、絶対に起こらないように管理を行うことが大切です。
養生
コンクリート打設後は、コンクリートの強度を問題なく発現させるため養生を行います。
養生には、散水養生・保温養生などの種類があります。
打設直後のコンクリートは、コンクリート温度と外部温度に差がある場合、強度が出にくくなることがあります。
そのためコンクリート打設後の型枠は、規定の期間存置しておいたり、水分を含ませたりして、温度差による有害なひび割れを防ぐことが大切になります。
強度確認
最後に、設計図書通りの強度が出ているか確認をするために、受入検査時に採取したコンクリートのテストピースを圧縮し、強度の確認を行います。
コンクリート打設後28日経過時までに、設計基準強度が出ていることを確認します。
安全・品質の確保は建設業従事者の使命!
躯体工事はまさに建物の核となる部分ですので、正しい管理を行う必要があります。
近年、さまざまな不具合などが発覚し、年々法規も厳しくなっています。
建設業に従事する者の使命として、安全・品質を確保し、お客様に満足いただける建物を作れるように日々精進していきましょう。
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