2022/06/07更新
宅地建物取引士(宅建士)とは?仕事内容や活躍シーンを解説!
資格
宅地建物取引士という仕事をご存知でしょうか?
公正な不動産取引を行うための不動産の専門家、それが宅地建物取引士であり、国家資格として有名な資格のひとつです。
「宅建」という単語は誰もが一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
今回は、宅地建物取引士の仕事内容や活躍シーン、資格を取得するメリットなどについて徹底解説します!
宅地建物取引士の特別な業務とは?
宅地建物取引士の仕事は、不動産取引(売買や賃貸契約など)に関わる様々な業務であり、その範囲は多岐に渡ります。
そしてその中でも、有資格者にしか許されていない特別な業務が3つ存在します。
それらは「独占業務」とよばれ、不動産取引という専門知識が求められる取引において、一般の消費者に不利益がないようにするために設けられている業務です。
3つの独占業務は不動産取引の際には必ず実施することが義務付けられています。
つまり、有資格者がいなければ、不動産取引自体が成立しなくなってしまいます。
宅地建物取引士の仕事は不動産業において必ずなくてはならない、とても重要なものなのです。
宅地建物取引士が担っている特別な「独占業務」ですが、実際にどのような業務が独占業務にあたるのか、簡単に見ていきましょう。
独占業務① 重要事項の説明
宅地建物取引士は契約前に、物件や契約内容といった不動産に関する重要事項を消費者に対して説明します。
家を買ったり、賃貸物件を借りたりした経験がある人は、必ずこの説明を受けているので、覚えのある人もいるかもしれませんね。
公正な取引をするために、大切な項目についてプロから説明をするというわけです。
独占業務② 重要事項説明書への記名・押印
上記①に付随して、重要事項を説明した文書に対して、記名と押印をします。
このことが、間違いなく宅地建物取引士が重要事項説明書を作成したという裏付けになります。
独占業務③ 契約書への記名・押印
上記②と同様に、契約書にも記名と押印をすることで、契約書の内容に間違いがないという裏付けとなります。
資格のメリット
不動産取引で必須の存在である宅地建物取引士ですが、資格取得することで多くのメリットが見込まれます。
忙しい中でわざわざ時間をかけて取得するのですから、どのようなメリットがあるのか確認しておきたいですよね。
ここでは職人・現場経験者ならではのポイントも踏まえてご紹介します。
必置資格で需要が多い
宅地建物取引士の需要の多さの背景には、必置資格であるという要因があります。
必置資格とは、事業を行う際に有資格者を必ず置かなければならないと法律で義務付けられている資格のことです。
法律の規定により、不動産業を行う会社では、ひとつの事務所ごとに従業員5人に1人以上の割合で有資格者が必要と決められています。
従業員数が10人なら有資格者は2人、50人なら5人は必要な計算になりますね。つまり、不動産業を行う事務所1箇所につき、必ず1人以上の需要が発生するのです。
実際にハローワークの求人でも、全国で2000件を超える宅地建物取引士の求人情報が掲載されています。(2022年1月現在)
また、確実に必要な人材であることから、資格手当がつき、収入アップが期待できる会社も多いようです。
不動産は消えてなくなるものではありませんから、土地や建物が存在する限り、不動産会社も宅地建物取引士の需要もあり続けると言えます。
現場経験者だからこそのキャリア
建設現場で職人として働いていた経験があれば、宅地建物取引士の資格と組み合わせることでキャリアの幅が大きく広がります。
例えば、住宅会社やゼネコンにおいて、資格 × 現場経験を持った営業職として転職すれば、契約に関することも現場に関することも理解したビジネスパーソンになることが可能です。
消費者からすれば、単なる営業よりも現場を理解した営業からの説明の方が説得力があり、安心できるものです。
職人としてその道を極めていくのもひとつですし、自分の可能性を広げる意味で、宅地建物取引士に代表される資格を取るのもひとつの大きな選択肢です。
別業界や別資格との相性が良い
不動産取引における独占業務を持つ資格のため、不動産業界での活躍はもちろんですが、実は建築業や金融業、小売業においても活躍の場があります。
建築業では前述の住宅会社やゼネコン、メーカーに活躍の場がありますし、金融業であれば、融資に関する業務において担保となる不動産の価値を正しく確認できるスキルが重宝されます。
また一見馴染みのない小売業においても、新店舗出店の建物や土地の確保に関する業務において、宅地建物取引士が持つ知見や知識は有益なものなのです。
さらに、増加するマンション需要にマッチする「管理業務主任者」や「マンション管理士」といった資格を組み合わせることで、マンション管理会社への転身や、経験を積んだ後の独立という可能性も視野に入ってきます。
業界や業種の幅を広げる意味でも、宅地建物取引士は優先して取得を目指すべき資格のひとつと言えるでしょう。
合格の難易度は?
宅地建物取引士になるために必要な試験の、合格率や難易度はどのくらいなのでしょうか?
受験資格自体は誰にでもあるため、申込みをし、受験費用7,000円さえ支払えば受験は可能ですが、合格は決して簡単なものではありません。
せっかくのチャレンジの成功率を上げるため、現実的な数字を把握しておきましょう。
合格率
宅地建物取引士の合格率は毎年概ね15%~17%ほどで推移しています。
毎年25万人以上の受験者がいることや、受験資格が誰にでもあることを踏まえても、簡単に取得できる資格ではないことがわかりますね。
複数回受験をする受験者もおり、簡単にさくっと合格とはいかないところが、逆にこの資格の価値を担保しているとも言えます。
勉強に必要な期間
宅地建物取引士試験に合格するまでの勉強時間は、300時間程度と言われています。
毎日2時間の勉強を続けたとして150日間、つまり約5ヶ月かかることになります。試験は例年10月の第3日曜日に実施されるため、勉強を始めるのは5月頃という計算です。
ただし、忙しい合間を縫って勉強時間を作る人にとっては、これはかなり無理のあるスケジュールです。
長期的にじっくりと対策したい場合は、最低でも8ヶ月ほど前にあたる、2月頃から準備に取りかかるのが好ましいでしょう。
独学?通信講座?スクール?
宅地建物取引士試験においては、いずれの方法であっても合格にたどり着くことが可能です。
多くの人にとって、勉強をしていく上での一番の制約は「時間」になります。仕事の前後や休日を効率的に使っていきたい場合は、独学が選択肢となるでしょう。
受験者がとても多い試験というだけあり、書店には対策本が数多く並んでいます。まずは1冊やりきるつもりで取り組んでみることをおすすめします。
ある程度の時間が確保できる人や、自分だけではモチベーションが維持できない人は、費用をかけても通信講座を受けるか、スクールに通う方が理解が深まりやすいです。
特に近年の試験では、暗記だけでは対応ができない設問がポイントになる傾向もあり、内容の理解度がより重要性を増しています。
宅地建物取引士はキャリアアップに繋がる!
宅地建物取引士は、不動産取引における必須資格であり、他業種、他業界への転職においてもとても役立つ資格のひとつです。
資格取得は決して低くない難易度になりますが、有資格者になれば、今後のキャリアを考える上で大きな武器になることでしょう。
転職が当たり前になったこの時代、ぜひ自分の可能性を広げる宅地建物取引士を目指してみてはいかがでしょうか。
参考元:
*ハローワーク インターネットサービス
*資格の学校TAC 「宅建の合格率は?出題範囲や難易度を解説!」
*生涯学習のユーキャン 「宅建の独学合格に向けた勉強法!勉強時間の目安も紹介!」
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