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2022/06/07更新

アーク溶接に必要な資格と安全に作業するための注意点を解説

資格

 
建設現場で作業していると、溶接が必要な場面に遭遇することが多いため、アーク溶接の技術を習得しておくと非常に便利です。

今回は、建設現場で活躍できる「アーク溶接」の技術について、必要な資格や安全に作業を行うための注意点などを解説します。
 

アーク溶接とは?

金属を繋ぎ合わせる「溶接」の一種

 
アーク溶接とは、電気の放電によりアーク(火花)を発生させ、その高熱により金属を溶かして繋ぎ合わせるものです。

繋ぎ合わせたい金属に対して、電極となる溶接機側の一部を接触させることにより、1万℃前後の高温のアークを発生させています。

数ある溶接の中でも、アーク溶接は比較的難易度が低いため、最も広く使用されています。
 

建設現場では「被覆アーク溶接」が一般的

 
アーク溶接には、大きく分けて「消耗電極式溶接」と「非消耗電極式溶接」があります。

消耗電極式溶接は「溶極式」ともいい、「被覆アーク溶接」や「ミグ・マグ溶接」が代表的です。

被覆アーク溶接は、溶接機に付属しているホルダーにワイヤーや溶接棒をセットして溶接作業を行うもので、建設現場で人の手で行われている溶接の多くはこの形式です。

ミグ・マグ溶接は、アークを覆う「シールドガス」として二酸化炭素やアルゴンを用いるタイプで、外付けのガスボンベを必要とします。

非消耗電極式溶接は「非溶極式」ともいい、ティグ溶接やプラズマ溶接がこれに該当します。
 

アーク溶接に必要な資格は?

アーク溶接作業の入口となる講習

 
アーク溶接の作業を行うためには、国家資格のような資格や免許を取得する必要はありません。

ただし、労働安全衛生規則により「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受講することが義務付けられています。

建設現場でアーク溶接を行いたい場合も、まずは講習を受講し、基礎知識と技術を習得しなければなりません。

講習は3日間にわたって行われ、学科が11時間・実技が10時間という合計21時間の内容と、かなりの長時間になっています。

講習の難易度は高くありませんが、溶接は正しい知識と技術を身に着けておかないと重大な事故につながる恐れのある作業なので、気を抜かずに集中して受講しましょう。

アーク溶接の特別教育は、各都道府県の公的機関や商工会議所、工業系資格の取得を目指す人を対象にした教習所を開業している民間企業などで受講することができます。

一例として、労働技能講習協会の公式サイトでアーク溶接特別教育に関する情報が公開されています。

講習を修了すると、写真入りの修了証を授与されるので、アーク溶接の作業を行う際には必ず携帯しましょう。

講習に必要な費用は、テキスト代を含めて10,000円〜25,000円程度となっています。
 

国内規格(JIS・WES)に基づく溶接技能者資格

 
「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を修了し、さらに高い技術を習得したい人は、JISやWESという国内規格に基づいた溶接技能者資格の取得を目指してもよいでしょう。

この資格では「手溶接技術検定」を始めとする多くの種類が用意されており、さらに横向きや上向きといった作業姿勢まで細かく指定されています。

建設現場においても、特にビルや橋の梁柱などの構造部分は高い強度を必要とするので、高度な技術を持った溶接技能者は常に需要があります。

このような高度な溶接作業は、経験を積み重ねるほど高く評価されるので、高齢になっても第一線で活躍できるという将来性もあるのです。

日本溶接協会の公式サイトには、受験できる溶接技能者の資格と受験料などが公開されているので、参考にしてください。
 

溶接のプロが目指す「AW検定」

 
JIS・WESよりも、さらに高いレベルの溶接技能者を目指す人々のために用意されているのが「AW検定(建築鉄骨溶接技能検定)」です。

AW検定は、溶接に関する試験の中では特に難易度が高く、長年溶接技能者として実績を積んだ人でも合格することは簡単ではありません。

その分、取得している人はプロの溶接技能者として現場でも高く評価されます。

AW検定の概要は、試験を主催するAW検定協会の公式サイトで公開されています。
 

アーク溶接を行うときの注意点

感電に注意

 
アーク溶接における感電事故は、毎年発生しています。

感電事故を防ぐためには、作業前後に必ず溶接機の電源のオン・オフを確認することや、作業中に素手で導電部分に触れたりしないことです。

また、汗をかいていると感電しやすいため、手袋を着用している場合であっても、濡れているときは導電部分に触れないようにしましょう。
 

火傷(やけど)に注意

 
アーク溶接の作業はアーク(火花)が発生するので、作業者は身体をアークから保護するための装備が必要です。

頭部を遮光面などで覆うのは当然として、火傷を防ぐために溶接作業用の手袋を使用し、衣服も溶接作業に適した長袖の作業服を着用しなければなりません。

たとえ真夏であっても、必ず長袖の作業着を着用して作業を行いましょう。
 

紫外線に注意

 
アーク溶接が発する光は、強い紫外線を含んでいます。

太陽の光を直接見ることと同じ害があるので、アーク溶接の光を直接肉眼で見てはいけません。
必ず溶接用遮光面(ハンドシールド)や溶接用ヘルメットなどを使用し、紫外線から目を守りましょう。

たとえ作業当事者ではなく、離れた場所にいる場合でも、アーク溶接の光を直接見ないように注意しましょう。
 

火災に注意

 
アーク溶接が原因となる火災も、たびたび発生しています。

建設業の場合、揮発油や可燃性の資材などが置かれている場所では溶接作業をしないよう注意が必要です。

特にビルの室内など閉ざされた空間では、気化した揮発油が充満しやすく、引火する危険性が高いので、大事故につながる可能性があり非常に危険です。

溶接作業を行うときは、周囲に揮発油や可燃性の資材などが置かれていないか、必ず事前に確認しましょう。
 

アーク溶接の正しい知識を習得しよう


 
建設業におけるアーク溶接は、鉄筋を繋ぎ合わせるような簡易なものから、鉄骨の梁や柱などの構造部分を溶接する高度なものまで、さまざまに応用されています。

溶接は便利な反面、危険性も併せ持っているので、正しい知識を身に付けて建設作業員としてのスキルを磨き、現場で活躍できるようにしましょう。
 
 

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BUILD編集部

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