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2022/10/13更新

巻上げ機の運転には資格が必要!講習内容について解説します

仕事

 
建設工事では、クレーン・杭打ち機・油圧ショベルなど、さまざまな建設機械を目にすることがあるのではないでしょうか。

そんな建設工事の中でも、重量物を取り扱う工事で欠かせないのが巻上げ機です。

今回は巻上げ機の運転に必要な資格である「巻上げ機(ウインチ)運転特別教育」について紹介します。

資格の内容についても詳しく解説するので、資格取得を考えている人や新しい資格にチャレンジしようか考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
 

巻上げ機とは?

 
建設現場で使用される巻上げ機は、ワイヤーを巻き上げて資機材の吊り上げ・吊り下げができたり、重量物のけん引ができたりする機械のことです。

モーターによってドラムを回転しワイヤーを巻き付けることによって、重量物を容易に取り扱えるようになります。

建設現場には、人間の手では簡単に扱えない資機材がたくさんあるため、巻上げ機があることで現場作業がスムーズに進められます。

また、巻上げ機のことをウインチとも呼びます

ウインチの種類はいくつかありますが、原動力によってタイプが分けられます。

原動力の種類は、電動式油圧式エンジン式空圧式手動式です。

なお、ウインチと似ている建設機械としてホイストがあります。

ウインチとホイストの特徴については下記の通りです。

  • ウインチ:吊り上げ・吊り下げ・横移動が可能
  • ホイスト:吊り上げ・吊り下げが可能

 
ウインチもホイストも上下方向に動かすことができる点は同じですが、ホイストはウインチのように横移動ができない点が異なります。
 

巻上げ機(ウインチ)運転の資格を取得するメリット


 
重量物を取り扱う建設現場において、クレーン等と同じくらい巻上げ機(ウインチ)を使用する場面は多々あります。

ここでは、資格を取得するメリットについて紹介します。
 

巻上げ機の運転ができるのは有資格者のみ

 
巻上げ機(ウインチ)は、作業員の誰もが運転できるわけではありません。

巻上げ機の運転は、巻上げ機(ウインチ)運転特別教育修了者が業務に就かなければならないと定められています。

そのため、必ず有資格者が巻上げ機の運転を行います。

つまり、建設現場にて巻上げ機を使用した資機材の吊り上げ・吊り下げ・横移動は、有資格者のみができる作業です。

しかし、クレーンなどに整備されたウインチの操作とは異なるため、巻上げ機の運転ができないという点を覚えておきましょう。
 

巻上げ機の上位資格はない

 
巻上げ機にはさまざまな種類があります。

しかし、巻上げ機の大きさ・性能の違いなどで、別の上位の資格が必要になることはありません。

巻上げ機(ウインチ)運転特別教育を修了すると、電気ホイスト・エアーホイスト・ゴンドラを除くすべての巻上げ機の運転ができるようになります。

巻上げ機の性能に関係なく運転できるため、一度資格を取得してしまえば建設現場で一生使うことができます。
 

労働災害を起こさないためにやるべきこと


 
巻上げ機の運転は「労働安全衛生規則 第三十六条 十一号」において、厚生労働省令で定める危険又は有害な業務とされています。

*引用元:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター 労働安全衛生規則 第一編 第四章 安全衛生教育(第三十五条-第四十条の三)

資機材などを吊り上げたり、吊り下げたりする場合は、吊り荷が落下する危険性があるため、吊り荷直下の人払いを徹底しなければなりません。

ほかにも、巻上げ機に手足が挟まれて怪我をする危険性も考えられるため、保護具の着用はもちろんのこと、足元の確認を行い落ち着いて作業することが重要です。

さらに、巻上げ機の取り扱い方法を誤ると労働災害の原因になる危険性があるといえます。

巻上げ機の使用の際は必ず始業前点検を実施し、故障や異常がないかを確認してから運転しましょう。

また、巻上げ機の運転業務で注意すべきことは下記の通りです。

  • 巻上げ機が確実に固定されているか
  • アースは正しく行われているか
  • ワイヤーロープの捨て巻きは十分か

 
巻上げ機本体の操作方法だけではなく、力学全般や電気に関する知識を習得し、安全に作業を行わなければなりません。
 

資格の取得方法

 
巻上げ機の運転をするためには資格が必要ですが「巻上げ機(ウインチ)運転特別教育」の講習を受講することで、資格を取得できます。

資格について詳しく見ていきましょう。
 

受験資格

満18歳以上であれば、実務経験に関係なく誰でも受験できます。

引用元:東京労働局登録教育機関 一般財団法人中小建設業特別教育協会 巻上げ機(ウィンチ)運転特別教育 講習会のご案内
 

講習の開催場所

各都道府県労働局の登録教育機関で講習の受講が可能です。

会社や自宅から近い場所で講習を受講できます。
 

講習の内容

「安全衛生特別教育規程 第十四条」に記載があるとおり、講習は学科・実技の2つを受講する必要があります。

引用元:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター 安全衛生特別教育規程 安全衛生特別教育規程

それぞれ下記の内容・時間で講習が実施されます。

  1. 学科(合計6時間以上)
    • 巻上げ機に関する知識(3時間)
      巻上げ機の原動機、ブレーキ、クラッチ、巻胴、逆転防止装置、動力伝達装置、電気装置、信号装置、連結器材、安全装置、各種計器及び巻上用ワイヤロープの構造及び取扱いの方法巻上げ機の据付方法
    • 巻上げ機の運転に必要な一般的事項に関する知識(2時間)
      合図方法、荷掛方法、連結方法、点検方法
    • 関連法令(1時間)
      法、令及び安衛則中の関係条項

    引用元:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター  第十四条2

  2.  

  3. 実技(合計4時間以上)
    • 巻上げ機の運転(3時間)
      荷の巻上げ及び巻卸し
    • 荷掛け及び合図(1時間)
      荷の種類に応じた荷掛け手、小旗等を用いて行う合図

    引用元:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター 第十四条3

 

難易度

 
学科・実技ともに試験がなく、講習の修了と同時に資格が取得できるため、資格取得の難易度は易しいといえます。

巻上げ機についてほとんど理解がないという人でも、積極的にチャレンジできる資格の一つです。
 

将来性

 
企業によっては、巻上げ機(ウインチ)運転特別教育修了者であれば、資格手当などの特別手当が支給されることもあります。

建設現場において、巻上げ機を使用する作業が日々行われていることから、資格の取得者であれば建設現場で求められる人材となることは間違いありません。
 

巻上げ機(ウインチ)運転の資格は今後も役立つ


 
巻上げ機は、建設現場において欠かせない建設機械の一つです。

また同時に、建設現場の重量物を安全に取り扱うためには、巻上げ機の正しい操作方法を習得した有資格者はなくてはならない存在です。

有資格者が覚えておかなければならないことは、巻上げ機の取り扱い方法を誤ると労働災害を引き起こすほどの危険性もあるということです。

無事故・無災害で工事を行うためにも、巻上げ機の操作時だけではなく、作業開始前には作業員全員で作業手順の確認・周知徹底が大切です。

現在、建設現場の多くで巻上げ機を使用する作業が行われているため、巻上げ機(ウインチ)運転特別教育を受講した有資格者は、今後も多くの建設現場で活躍することは間違いありません。

ぜひ、巻上げ機(ウインチ)運転特別教育を受講して、ご自身の活躍の場を広げてみてはいかがでしょうか。

 
 

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この記事を書いた人

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