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2022/06/20更新

土木施工管理技士の業務や試験内容とは?1級と2級の違い

仕事

 
土木作業員として働く人の中には、キャリアアップとして現場監督を目指ざしている人も多いのではないでしょうか。

現場監督の中でも、資格を持つことで更なるキャリアアップや収入アップへ繋げることができます。

今回は現場監督が持っていると活躍の場が広がる、土木施工管理技士の資格について紹介します。
 

土木施工管理技士とは

施工管理技士の資格は、建設業法で定められた国家資格であり、土木施工管理技士のほかにも建築施工管理技士や管工事施工管理技士など7種類あります。

中でも土木施工管理技士は、道路や上下水道、鉄道などの公共設備の土木現場で現場監督として働ける資格になります。
 

現場監督と主任技術者・監理技術者

 
工事現場で全体の管理を行い、現場の安全や品質を保つための監督業などを行う現場監督(工事主任)は、資格がなくとも実務経験でなることができます。

しかし、現場監督でも「主任技術者」または「監理技術者」として働くには、土木施工管理技士の資格を持っていることが必須になります。

工事をする際、基本的に全ての建設現場には、主任技術者を配置しなければならない決まりがあります。

そして、工事の請負金額が一定の額を超える工事現場には、監理技術者の配置が必要となります。
 

土木施工管理技士資格の1級と2級の違い

土木施工管理技士の資格には1級と2級があり、管理できる工事の請負金額が異なります

2級で管理できるのは、請負金額が4000万円までの工事です。

それ以上の請負金額の場合は、1級を所持していないと主任技術者になれません。
 

さらに上を目指すなら管理技術者

 
1級土木施工管理技士に合格し、さらに監理技術者講習を受講すると管理技術者になることができます。

最近では、工事金額の大小にかかわらず管理技術者を置くべきであると国からの意向もあり、ますます1級土木施工管理技士の需要は高まってきています。

なお、1級と2級(主任技術者と監理技術者)の違いは請負金額のみであり、業務内容に差はありません。
 

資格で就職先や働き方が変わる?

土木工事を請け負う会社のランクと責任者の人数

 
道路工事や学校建設など、官公庁などが発注した公共工事には、数年かかるようなビックプロジェクトから、数ヵ月、数日で終わる工事まであります。

それぞれのプロジェクトを受注し施工できるのは、そのプロジェクトの入札に参加して落札をした会社となります。
 
土木工事会社は入札参加資格の格付けがされており、ランクによって請け負える(入札できる)公共工事金額の範囲が決まっています。

ランクが高いほど工事の金額が高くなりますが、下のランクの入札には参加することができません。

なお、建設会社の登録には一般建設業と特定建設業があります。

工事金額が4000万円以上の場合は、特定建設業に登録していなければ請け負うことができません。

A1とA2の会社は、特定建設業に登録しています。
B~Dクラスの会社は、請負金額が4000万円以下となるので一般建設業の登録となります。

A1のような最上位のランクに該当するのは、元請けであり、経営規模の大きいゼネコンと呼ばれる大手建設会社になります。

数年かかるようなビックプロジェクトは請負金額も多額になるため、1級土木施工管理技士でなくては責任者(主任技術者)にはなれません。

また、ビックプロジェクトや数か月単位で行う工事の場合は、複数人のチームで進めていくことになります。

先述の通り2級が責任者になれる工事の請負金額には制限があるため、A2ランクの会社に所属していても、工事請負金額が4000万円以上となると主任技術者となることはできません。

2級土木施工管理技士が主任技術者となって現場監督できる会社は、A2、B、C、Dとなります。

ただし、主任技術者の補助業務に当たることはできるので、大手ゼネコンでも2級土木施工管理技士の活躍の場はあります。

また土木施工管理技士の1級と2級で仕事内容に差はないため、4,000万円以下の工事であれば、会社によっては1級の人が現場監督(主任技術者)になったり、2級の人が現場監督になることがあります。
 

資格取得による優遇は?

土木施工管理技士の資格があることで、就職の際に優遇されたり、資格手当を支給している会社が多くあります。

基本的には、2級よりも1級資格の方が、資格手当の額が高くなる傾向にあります。

また会社によっては、資格手当とは別に、主任や工事長(係長)などの役職手当が付きます。
資格を取り役職につけば、資格手当と役職手当を両方受け取ることができます。

資格を持っていなくても、資格取得支援をしている会社もあるので、ステップアップを考えている人は、そういった会社を選ぶのもいいでしょう。

土木施工管理技士は、資格試験が難しい割にはそれほど高収入ではありません。しかし、取得していれば土木業界で長く活躍できることは確かです。

まさに一生の資格と言えます。
 

土木施工管理技士の仕事内容

土木施工管理技士の仕事を大まかに説明すると、施工計画・工程管理・品質管理などです。

筆者が現在関わっているマンホールの修繕工事(10箇所)を例にして説明しましょう。

工事内容はマンホールの高さを調整する、いわゆる「マンホールのかさ上げ・かさ下げ」です。鉄蓋・鉄枠・上絞分を新品に交換します。

指示書の工期に合わせて施工日を決め、作業員・作業車両・作業機械が施工日に用意できるか確認します。マンホール修繕は1日2箇所施工できるので、今回の施工日数は5日間です。
 

準備

維持工事の期間は、4月1日から3月31日までの1年間です。4月に施工計画・使用資材承諾願い・施工体制台帳などを提出します。

監督する役所から出される指示書に従って工事することになります。

  1. 役所の監督員と打ち合わせ(注意点、問題点はないか)
  2. 現地踏査(現地調査 交通規制の方法 マンホール内部の調査 )
  3. 管轄の警察署に、道路使用許可申請書を提出(提出から受け取りまで3日間)
  4. 地下埋設物の調査(水道・ガス・NTT ほか現場立会の有無)
  5. 工事工程表を作成
  6. ガードマンの確保 (交通規制にあわせた人数)
  7. 資材を発注(通常は5日、モノによっては1週間以上前に注文しなければいけないことも)
  8. 住民への工事チラシの配布(工事開始 約4日前に配布)

 
1~8のことを済ませてから工事にとりかかるので、1~2週間ほど前から工事の準備をしなくてはいけません。
 

現場施工

現場施工では、工程管理・品質管理・安全管理ほか、産業廃棄物の処理の対応など管理業務全般を行います。

  1. 安全管理(交通規制帯は適切か、危険な作業をしていないか)
  2. 品質管理(写真管理 出来形測定など)
  3. 工程管理(予定通り進んでいるか 悪天候のため中止はあるか)
  4. 産廃処理(ASガラ、切断汚泥、コンガラなどの処分)

 
現場施工は「安全第一」で、無事故無災害で終わらなくてはいけません。

安全に工事を進めるため、朝礼などで今後の予定や危険なところを周知しておきます。

写真管理は、工事写真帳を作成するためのものです。撮影し忘れると、取り返しがつかないので要注意です。
 

竣工書類作成(納品)

工事が終わったら竣工書類を作成し、工期までに役所に収めれば工事終了です。

竣工書類とは、工事写真帳・日報・資材一覧表など品質や出来形に関する書類となります。
 

土木施工管理技士試験について

令和3年4月に技術検定制度の改正が施行され、土木施工管理技士を含む技術検定試験の出題構成や資格の取扱が変わりました。

土木施工管理技士試験は、1級・2級ともに第一次検定と第二次検定があり、第一次検定に合格すると「技士補」、第二次検定に合格すると「技士」の称号が付与されます。

技士補になれれば、第一次検定を受けずに、第二次検定を受験することができるようになります。

受験資格は、第一次検定では17歳以上の者となりますが、第二次検定では土木施工に関する実務経験が必要となり、学歴によって実務経験年数が異なります。
 

2級試験内容

学科試験にあたる第一次検定では、前期と後期があり、年に2回受験することができます。

前期は試験の種別が土木のみとなりますが、後期は土木、鋼構造物塗装、薬液注入から選ぶことができます。
ただし、第二検定受験の際に、第一次検定で選択した種別での実務経験が受験資格となります。

また、種別ごとに試験日程が異なるので注意しましょう。

種別が土木の場合の試験は択一式で一般・専門土木や法規、共通工学についての知識問題に加え、第二次検定で出題される能力問題の一部である、施工管理の基礎的な能力についての問題が出題されます。

問題は、必須問題(公共工学・施工管理法)と選択問題(土木一般、専門土木、法規)からなり、合計61問のうち、全部で40問に解答します。(種別が土木の場合)

*そのほかの種別についてはこちら

第一次検定の合格基準は、どの種別も1問1点で40点満点の採点となり、全体の得点が24点以上(60%以上)で合格となります。

*令和4年度、第一次検定:前期(種別:土木)に行われた試験問題
 

実地試験にあたる第二次検定は、前述の通り第一次検定で合格した種別での実務経験が必要となります。

試験は全問記述式で施工経験や土木、コンクリートについての問題と、第一検定で出題される施工管理による知識問題が出題されます。

問題は、施工経験や土木、コンクリートについてが必須問題、施工管理による知識問題が選択問題となっており、合計9問のうち、全部で7問に回答します。

合格基準は、第一検定と同じく、全体の得点が60%以上で合格となります。

*令和3年度、第二次検定(種別:土木)に行われた試験問題

令和3年度の合格率は、第一次検定(後期)が72.5%、第二次検定が40.7%となっており、全問記述式というところからも第二次検定の試験内容が難しくなっていることがわかります。

参考元:国土交通省 報道発表資料
 

1級試験内容

 
土木施工管理技士1級の試験構成や内容などはほとんど2級と変わりませんが、出題範囲が広く、解答する問題数が増え、難易度も上がります。

第一次検定は、午前と午後の部で別れ、午前の部は選択問題、午後の部は必須問題の試験となります。

第一次検定の合格基準は、1問1点で65点満点の採点となり、能力問題(15問)の得点が60%に加え、全体(65問)の得点が60%以上で合格となります。

*令和3年度、第一次検定に行われた試験問題:・問題A(選択問題) ・問題B(必須問題)

*令和3年度、第二次検定に行われた試験問題

令和3年度の合格率は、第一次検定が60.6%、第二次検定が36.6%となっており、2級の試験よりも合格率が下がっています。

参考元:国土交通省 報道発表資料
 

筆者は、2級土木施工管理技士試験合格した5年後に1級土木施工管理技士試験に挑戦し、1級を取得するまで3年を要しました。

3年もかかった原因は、5年間も空白期間でせっかく記憶した知識を忘れてしまったことにつきます。

2級土木施工管理技士試験に合格したなら、期間を置かないですぐに1級土木施工管理技士試験に挑戦するのがおすすめです。
 

土木施工管理技士は重要な役割を担っている

 
土木施工管理技士について、仕事や試験についてお話しました。

 
土木施工管理技士をサッカー選手に例えるならナンバー10の司令塔と言えるでしょう。
ナンバーテンは、キャプテンです。各々の選手に適格な支持を与えなければいけません。

土木施工管理技士は、現場監督として工事全体を把握し、的確な指示を与えて工事を進めるのが仕事となります。

とてもやりがいがあり、キャリアアップに最適な資格と言えるでしょう。
 
 

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BUILD編集部

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