2022/06/07更新
一級建築士ってどんな資格?試験や勉強方法について徹底解説
資格
日常生活の中で一度、聞いたことのある、一級建築士。
どのような資格かや、仕事内容を聞かれると、なんとなく設計士の様なイメージが浮かぶのではないでしょうか。
設計士の資格であることは間違いありませんが、一級建築士は設計士以外にも、建築業界に従事する人にとっては一つのステータスとなり、知識や技術力の証明となるものです。
この記事では、一級建築士の仕事内容や、資格の概要、取得の難易度などを総合的に解説していきます。
一級建築士の資格
一級建築士を持っていると、全ての建物の設計に関わることができます。
類似資格で、二級建築士という資格があります。
二級建築士は、設計できる建物の大きさに制限があるため、大規模建築物の設計などに関わる場合は、一級建築士資格が必要になります。
近年では、設計事務所で働く人以外にも、ゼネコン(総合建設業)に従事している人や、公官庁職員、デベロッパー、専門工事会社などでの取得も多く、建設業に携わる多くの人が取得を推奨している資格となります。
一級建築士は、ビジネスの場で自身の知識や技術力を一目で証明できるものとして活用している人が多く、非常に心強い証となります。
一級建築士の試験
一級建築士とは、国土交通省管轄の国家資格の一つで、非常に取るのが難しい難関資格です。
一級建築士の試験は、学科試験と実地試験に分かれており、一次試験で学科試験を行い、一次試験の合格者のみが、二次試験の実地試験を受験する資格を得られます。
それぞれの合格率はその年により異なりますが、平均的には、学科試験18%前後、実地試験33%前後となっています。
これを見ると実地試験の合格率の方が高く、簡単に感じる気がしますが、実地試験を受けられるのは学科試験に合格した18%前後の人のみとなります。
非常にレベルの高い試験となり、競争率は高いです。
また昨年、一昨年と実地試験に落ちた人の再受験も多く、初年度での合格はかなり厳しいです。
資格を取得する際は、資格学校に通学するのが一般的で、大手資格学校では150万円前後する学校もあります。
また合格者の平均勉強は、学科試験1,000時間、実地試験400時間前後とも言われており、このことからも、独学で取得するのは非常に厳しいことがわかります。
一級建築士の試験内容
一次試験
前述した通り、一級建築士資格の一次試験には、学科試験と実地試験で構成されています。
学科試験は5科目で構成されており、計画(20点満点)、環境設備(20点満点)、建築法規(30点満点)、建築構造(30点満点)、建築施工(25点満点)の合計125点満点となっています。
学科の合格基準点は、2種類あります。
一つ目は、科目別最低点以上を取得すること。
二つ目は、総合合格基準点を上回ること。
総合合格点を上回ったとしても、科目にて設定している最低点を下回った場合は、不合格になるため、偏った勉強をしていると合格できません。
総合合格基準点は、その年により問題の難易度が変わるため異なりますが、平均して90点前後となります。90/125ですので、7割以上の正答率が必要となります。
当然、全ての問題は年々難易度を高めており、非常に難しいです。
合格する人は、苦手な問題を徹底的に勉強し、どの問題が出ても解ける前提で試験を受けています。苦手な問題を残したまま試験に挑んでしまうと、ほぼ間違いなく不合格になってしまうでしょう。
ニ次試験
ニ次試験は、設計製図を描き上げる試験となり、6時間30分で指定された設計条件を読み込み、A2サイズの試験用紙に設計図面を描き上げる、超高難易度試験です。
要求設計図面は3フロア分の平面図と、断面図を要求されることが多く、そのほかに、設計アピールポイントをA3用紙一枚にびっしりと記載しなければなりません。
中でも特に大変なのが、6時間30分の試験時間の中で設計製図を描き上げる時間はわずか2時間30分(150分)しか無いということです。
6時間30分(390分)の中の時間配分内訳
初年度受験の受験生は、最初に作図時間に悩まされることが多く、製図を初めて描く人は、一枚12時間前後かかると言われています。
学科試験後、約3ヶ月後の試験日までに2時間30分間で描き上げられるようにならなければいけないため、非常に大変な試験ですが、取得した際には大きなメリットがありますので、ぜひ取得をおすすめします。
一級建築士の勉強のコツ
一級建築士の勉強は、範囲がとても広くどこから手をつければ良いのかが非常に難しいです。
自身の体験の中で、どの様に勉強していくと効率が良いのかについて記載します。
学科
計画・環境設備・建築法規・建築構造・建築施工ある学科5科目の特徴を簡単に解説すると、大きく2つに分類されます。
計画、環境設備、建築施工・・・暗記科目
建築法規、建築構造・・・積み重ね学習科目
暗記科目の特徴は、その分野の勉強を行うと、簡単に得点につなげることができます。
建築法規、建築構造に関しては、一通りの学習を終えてもなお簡単に得点はできず、応用問題への対応力が求められるため、非常に多くの問題を解く必要があります。
この2科目は、5科目の中でも最も点数配分が多く内容も難しいため、早期の学習をおすすめします。
製図
製図の学習項目は大きく分けて3つあります。
1つ目は作図、2つ目はエスキス(作図のためのスケッチ)、3つ目は応用知識となります。
作図能力は、製図試験を受ける上で必須となる学習で、短い時間で丁寧な図面を作成することが求められます。作図能力の向上のためには『ひたすら図面を描く』以外ありません。
合格者は、試験までの期間に平均40枚以上の図面を書いていると聞きます。
エスキス能力は、過去の試験問題を参考に、模範解答例を見ながら学習することが効率的です。
試験元が正解としている答えを参考にすることで、より試験官に対して魅力的なエスキスを作成することができます。
製図の基礎知識は学科試験で勉強してきた内容で問題ありませんが、応用知識は製図を描く上で、特に設備設計や構造設計についての深い理解が必要です。
学科試験とは異なり、実際の知識を図面に盛り込む作業は、想像以上に大変です。
市販テキスト等でも、設備設計や構造設計の建築士対策書籍が販売されています。
読めば確実に力がつきますので、受験予定の人は自分が読みやすいと思う一冊を購読するといいでしょう。
一級建築士の取得メリット
一級建築士の取得メリットは、何といってもそのブランド力です。
一級建築士を所持している人の平均年収は、約600万円前後とも言われており、日本の平均年収が427万円程なので比較的高給となります。
また会社によっては、資格の取得が出世や昇進の条件となっていると聞いたことがあるほど、資格を取得している人に対して一律の手当を支給する会社も多く、その点でも、収入面におけるメリットとなっています。
また一級建築士を所持し、設計士事務所での経験を積んでいると、独立して設計士事務所を開設する人も多くいます。
安定して仕事の受注を行えれば、かなりの年収が期待できるため、非常に夢のある資格でもあります。
一級建築士資格は取得して損はない!
現在、少子高齢化で人員不足とベテラン技能者の不足が続く建設業において、一級建築士は技術力を証明するために非常に心強い資格となります。
取得難易度が高いため簡単には取得できませんが、取得できた際には、昇給だけでなく、建築業界で昇進できる可能性など、大きなメリットがあります。
この記事をきっかけに、少しずつでも勉強を進めて、資格取得を目指しましょう!
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