2024/12/19更新
コンクリート技士・主任技士試験とは?試験内容を徹底解説!
仕事
橋梁・ダム・トンネルなど、私たちの身の回りにはさまざまな社会インフラが存在しています。
そんな社会インフラの材料として広く使われているのがコンクリート。
コンクリートは、建設現場・コンクリート製品メーカー・生コンクリート製造会社などで広く扱われています。
そこで今回は、コンクリートを扱う人が取得しておきたいコンクリート技士・主任技士試験について紹介します。
試験内容のほかに、資格取得のメリットも解説するので、ぜひ最後までチェックしてください。
コンクリート技士・主任技士の仕事内容
コンクリート技士・主任技士は、いずれもコンクリートの製造・施工などを行います。
コンクリート構造物を施工する際、現場で受け入れ検査の実施を行い、実際にコンクリートの施工を行うこともあります。
また、レディーミクストコンクリート(生コンクリート)やコンクリート二次製品の製造工場においても配合設計・品質管理などを行います。
コンクリート技士はこれらの業務を行いますが、コンクリート主任技士は日常業務のほかに、管理・指導・研究まで行えます。
土木工事共通仕様書(国土交通省)・コンクリート標準示方書(土木学会)・建築工事標準仕様書(日本建築学会)にはコンクリート技士・主任技士についての記載があります。
そのため、コンクリートに関する幅広い知識と技術力を示すコンクリート技士・主任技士は、コンクリートの設計・製造・施工などあらゆる分野で求められている技術者であるといえますね。
*参考元:日本コンクリート工学会 コンクリート技士・主任技士関係
試験の概要
コンクリート技士・主任技士の試験は、公益社団法人 日本コンクリート工学会が主催しており、毎年11月下旬に全国の主要都市にて開催されます。
ただし、コンクリート技士・主任技士の試験では異なる点があるので、事前によく確認してから試験対策を行うことが重要です。
受験資格
コンクリート技士・主任技士は、指定の資格に登録している場合と実務経験がある場合に受験できますが、それぞれ条件があります。
【以下の指定の資格に登録している】
- コンクリート診断士
- 一級建築士
- 技術士(建設部門)
- 技術士(農業部門-農業土木または農業農村工学)
- 土木技術者(特別上級・上級・1級)
- RCCM(鋼構造及びコンクリート)
- 1級土木施工管理技士または1級建築施工管理技士(※監理技術者資格者証を持っていること)
【実務経験を証明する(学歴・年齢の制限がない場合)】
指定の資格を取得していない場合は、コンクリート技術関係業務の実務経験があれば受験できます。
- コンクリート技士:3年以上の実務経験
- コンクリート主任技士:
7年以上の実務経験、もしくはコンクリート技士試験に合格してから2年以上の実務経験
このように、コンクリート技術関係業務の実務経験を証明して受験をする場合、コンクリート技士とコンクリート主任技士では実務経験の年数が異なるため注意しましょう。
【実務経験を証明する(以下の学歴がある場合)】
大学・高等専門学校・短期大学・高等学校でコンクリート技術に関する科目を履修した場合は、卒業証明書・履修(成績)証明書の書類と以下の実務経験があれば受験できます。
- コンクリート技士:2年以上の実務経験
- コンクリート主任技士:4年以上(高等学校の場合は5年以上)
もし、大学院でコンクリートに関する研究を行った場合は、その期間を実務経験として含めていいことになっています。ただし実務経歴書には、学位論文の題名・期間と大学院の学位論文の題名の記載がある学位授与証明書等が必要です。
試験方法
コンクリート技士試験の試験時間は120分で、四肢択一式問題と○×式の問題が出題されます。
一方、コンクリート主任技士の試験時間は180分で、四肢択一式問題と記述試験が出題されます。
小論文の出題数・テーマについては年度ごとに異なりますが、これまで800文字以内で作成する問題が出題されているため、コンクリートに関する知識だけではなく、文章を書く訓練も必要です。
試験内容・対策
コンクリート技士は、コンクリートの品質・試験・製造・施工など幅広い分野から基本的な問題が出題されるほか、環境問題・関係法令・JIS(日本工業規格)の理解についても出題されます。
コンクリート主任技士は、コンクリート技士と同じく基本的な知識や理解はもちろんのこと、応用問題や記述試験が出題されるので、日常業務での実務経験と入念な試験対策が試験合格のカギといえます。
そのため、業務を通してコンクリートに関しての理解を深めるほかに、本・参考書などで基本的な知識を学習することが必須です。過去に出題された問題集を解いて試験の傾向をつかむのもいいでしょう。
コンクリート主任技士で出題される記述試験対策も同様に、過去問でさまざまなテーマに触れ文章を書く練習が必要です。周囲にコンクリート主任技士あるいは同等の技術者がいる場合は、添削をお願いしてみるのもおすすめです。
また、日頃からコンクリートのみならず建設業界全体の話題に興味・関心を持ち、情報をキャッチしておく必要もあるでしょう。
*参考元:日本コンクリート工学会 コンクリート技士試験・主任技士試験 受験のご案内
合格率・難易度
日本コンクリート工学会が公表している試験結果概況によると、各年度によって合格率にばらつきがあるものの、コンクリート技士の合格率は約30%、コンクリート主任技士の合格率は約12%となっています。
合格率から判断すると、コンクリート技士の試験合格は決して容易な試験ではありません。コンクリート主任技士にいたっては合格率が10%未満の年度もあるため、建設業界の資格試験の中でも難易度が高い試験といえますね。
*参考元:日本コンクリート工学会 JCI資格認定試験 コンクリート技士・主任技士 試験結果の概況
コンクリート技士・主任技士を取得するメリット
コンクリート技士・主任技士の資格取得は決して簡単ではありませんが、資格を有することで業務に役立つことなどメリットがあります。
資格を取得すると、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
キャリアアップが期待できる
コンクリート技士・主任技士の資格を取得することで、キャリアアップが期待できます。
資格保有者は、コンクリートに関する知識を持っている技術者です。そのため、資格試験に合格すると、それだけのスキルを持っていると周囲に証明できます。
また、資格を持っていることで仕事の幅が広がるため、より高度な業務に携わるチャンスもあるでしょう。
さらに、キャリアアップに伴い給与アップも期待できるので、会社でますます活躍できる人材になることは間違いありません。
就職・転職活動に有利になる
コンクリート技士・主任技士の資格を取得すると、建設業界への就職・転職活動に大きく役立ちます。
建設業界においてコンクリートは欠かせないもので、これからの建設工事でもコンクリートに関する技術を有する人材は求められるでしょう。
特に、建設業界では熟練工の高齢化・若手技術者の不足が課題となっています。コンクリート技士・主任技士は、コンクリートに精通した技術者であるため、市場価値の高い人材といえます。
コンクリート技士・主任技士の資格取得を目指そう
コンクリート技士・主任技士は民間資格でありながら、資格取得者は建設業界には欠かせないコンクリートのスペシャリストといえる存在です。
試験合格に向けて、日常業務との向き合い方だけではなく、業務以外での学習時間の確保・効率のいい学習は大変重要ですが、難しいことでもあります。
しかし、資格を取得することで仕事の幅が広がり、自身のスキルアップにもつながります。また、就職・転職活動で自分をアピールできる材料にもなります。
ぜひ、コンクリート技士・主任技士の資格取得にチャレンジして、技術力を高めてみてはいかがでしょうか。
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