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2019/08/30更新

正しく知ってる?「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」の違い

仕事

「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことはあるけれど、正しく説明はできないという人もいるのではないでしょうか?

一方、体の不自由な人が生活で困らないように、と駅や家庭でも普及してきた「バリアフリー」という言葉もあります。
そんなバリアフリーとユニバーサルデザインには、明確にはどういった違いがあるのでしょうか。
 

ノーマライゼーションという考え方


バリアフリーとユニバーサルデザインの考え方の違いの前に、「ノーマライゼーション」という理念についてご紹介します。

ノーマライゼーションとは、厚生労働省が提示している「障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指す」という理念のことです。

この理念の提唱者といわれているのは、デンマークのニルス・エリク・バンク-ミケルセンという社会省の知的障害者施設の担当になった人です。

ニルスは、隔離的で劣悪な環境の巨大施設に収容されている知的障害児者の処遇の実態に心を痛めました。

ノーマライゼーションという言葉には、ニルスと知的障がい者の親たちの「障がい者でも一般市民と同様の生活や権利が保障されている社会を」という願いが込められています。
抑圧されがちな障がい者やその家族がもっと生きていきやすい社会体勢をつくりたい。
そうした背景があり、ノーマライゼーションという理念が生まれたのだといわれています。

バリアフリーとユニバーサルデザインは、こうした理念に基づいて考えられている考え方のことを指します。

出典:日本障害者リハビリテーション協会
 

ユニバーサルデザインとバリアフリー

バリアフリーとは、障がい者・高齢者などの社会的弱者のために、生活に障害となる物理的な障壁(バリア)の削除(フリー)を行う、既存のものから反省して過ごしやすく作り変えるという考え方のことです。

一方、ユニバーサルデザインとは、「出来るだけ多くの人々が利用できるように製品、建物、空間などのデザインを最初から施すこと」を指した言葉です。

バリアフリー


バリアフリーとは、元々はアメリカで生まれた概念です。
1974年に国連障がい者生活環境専門家会議が「バリアフリーデザイン」という報告書を出した頃から、この用語が主に建築業界で使われるようになりました。
近年でも高齢者や、車椅子で生活を送るなど身体的障がい者を対象として段差をなくすためのスロープが設置されたり、乗降時に広いスペースが使えるように身体障がい者用駐車場の設備などが整えられてきました。

かつて健常者の視点でつくられた世の中が進むにつれて、高齢者では社会生活が困難になることや、また障がい者に対する理解の深まりと共に、そういったバリアを削除しようとする考えが広まりました。

ユニバーサルデザイン


ユニバーサルデザインとは、米国人建築家ロナルド・メイスという一人の障がい者によって1980年代に提唱されました。
自身を含めた高齢者、身体障がい者といった特定の人に対象とした政策は異なると考えたロナルドは、対象者を限定することなくデザインされたものが必要だと考えました。

ユニバーサルデザインは、以下の7つの原則が設けられているのが特徴です。

ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターが提唱する7つの原則

  • 誰もが平等に利用できる「公平性」
  • 安心して利用できる「安全性」
  • あらゆる人に応じた使い方が選択できる「柔軟性」
  • 無理な姿勢をとることなく楽に利用できる「省体力」
  • 使い方が直感的に理解できる「単純性」
  • 利用するのに適切な広さと幅がある「スペース確保」
  • 必要な情報が容易に理解できる「わかりやすさ」

上記の7つを基に考えられたすべての利用者にとってやさしいデザインこそが、ユニバーサルデザインです。
ユニバーサルデザインをトイレなどの社会資本整備に導入することは、快適な環境の整備にもつながります。

たとえば、暮らしやすい環境を作ることでコストの削減につながったり、高齢者や障害者の社会参加が促進されたりすれば、元気な地域の形成が期待できるでしょう。
ユニバーサルデザインは、「利用者を選ばない普遍的なデザイン」として世の中により浸透していくことが考えられます。
 

これまでの社会とこれからの社会

2020年東京五輪・パラリンピックの開催を機に共生社会の実現を目指す「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、共生社会の実現に向け、個人の行動に向けて働きかける取組「心のバリアフリー分野」と、ユニバーサルデザインの街づくりを推進する取組「街づくり分野」を大きな二つの柱として計画を進めています。

また、こうした取り組みや考え方の浸透から、近年では車両や駅、旅客施設のユニバーサルデザインの普及は進んでいます。
中でも視覚障がい者の誘導ブロックは2017年時点で82.8%となっており、誰もが生活しやすい世の中に少しずつ近づいています。

図1

また、ノンステップバスなどの乗合バスや、駅のホームのホームドア設置など目が不自由な人などが転落しないように対策が進められています。

こうしたバリアフリー対策により、目の不自由な人に限らず、アルコールで足がおぼつかなくなってしまった人や人とぶつかって線路に落ちるなどの心配もなくなり、全ての人が安全に過ごせるようにユニバーサルデザインが施されています。

図2

オリンピックが近づき、これからユニバーサルデザインがより求められていき、家庭でももっと一般的になっていくでしょう。
すべての人が過ごしやすい世の中を作っていくのは、職人の力なくしてはできないものです。
こういった意識の中で仕事をしていくと、また違った目線で仕事に取り組めるかもしれませんね。

(図1、図2)出典:国土交通省
 

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BUILD編集部

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