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2020/03/25更新

「免震」「耐震」「制震」の違いとは?知っておきたい免震構造について

仕事

地震大国日本と呼ばれるほど、我が国では地震が頻繁に発生しています。
2019年では震度1以上が観測された地震の回数は、およそ1500回以上だと言われています。
いつ起こるかわからない地震だからこそ、普段から備えが必要となってきます。

地震対策の方法のひとつに、普段私たちが住まう住居の地震対策が一番に思いつくことでしょう。
建物全体を地震から守るための方法を、建築業界に携わるものとして、きちんと把握しておきましょう。
 

地震対策についての基準と等級

耐震基準

地震が多い日本だからこそ、法律も地震が起こった場合の被害を、最小限に留めるためのものになっています。
1950年に制定された建築基準法は、1981年6月に、より耐震水準を高めたものへと改定されています。
そのため1981年6月より前の基準が旧耐震基準、それ以降の建物は新耐震基準で建てられており、新耐震基準は大地震でも建物を倒壊させないことが前提となっています。

実際に新耐震基準で作られた建物は、阪神淡路大震災でも倒壊することはなかったと言われています。

耐震等級

2000年に住宅の品質を高める目的で品確法が制定されました。
それに基づき、「住宅性能表示制度」という、10分野の住宅の性能を、共通の基準で評価して等級などで表示する制度ができました。

耐震等級1は新耐震基準を満たすことを示し、耐震等級2はその1.25倍、耐震等級3は1.5倍の強度という意味です。

 

3つの地震対策

現在、建築物の地震対策として「耐震」「制震」「免震」の3つの工法があります。
それぞれ異なる方法での耐震構造をしており、耐震効果も異なります。

免震

建物を支えて、地震の際に建物をゆっくりと移動させるアイソレータと呼ばれる装置と、ダンパーと呼ばれる揺れを抑える装置を使っており、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えない構造です。

アイソレータ例

  • 積層ゴム
  • すべり支承
  • 転がり支承
ダンパー例

  • オイルダンパー
  • 鋼材ダンパー
  • 鉛ダンパー

 
現在実装されている地震対策のなかでは最も建物に対する揺れをカットできると言われており、7~8割程度揺れを軽減できるとされています。
そのため家具などの転倒による二次災害の影響も少ないと言われています。

しかし免震は地面から離れているため、台風や津波など地震以外の災害には弱いとも指摘されています。
ほかの工法に比べると施工費が高く300~600万ほどかかり、またアイソレータの定期メンテナンスも必要となり、装置の交換も大がかりなものになるため、ランニングコストがかかります。

制震

建築時に内部に錘(おもり)やダンパーなど揺れを吸収する装置を組み込み、地震の揺れを熱エネルギーに変換する構造です。

免震構造と違い地面に直接建物を建て、内壁と外壁の間に耐震ダンパーを組み込みます。
このダンパーよって揺れが熱エネルギーに置換され、建物の倒壊を防ぐことができます。

耐震精度は免震構造には劣り2~3割程度の軽減ですが、台風などの強風などにも強いので地震以外の災害時も安心することができます。
ほかにも施工費は50~100万と少なく、また定期メンテナンスも数年単位でいいとされています。

耐震

耐震は、現在ほとんどの住宅で採用されている最もポピュラーな耐震工法です。
建築物が倒壊せず、住人が避難できることを前提に作られているため、建物そのものの強度は高いものの、揺れを吸収せずに耐える構造となっているので、ダイレクトに揺れを感じます。

建物上部になればなるほど、遠心力で揺れを強く感じ、家具などの転倒などで二次災害が起こりやすい工法だとも言えます。
ほかにも大災害があった場合、メンテナンスに費用がかかるというのもデメリットのひとつです。

上記の中では施工費が最も安く、かつ建築基準法に則っていれば追加費用なしに耐震住宅を建築することができます。

 

資格

免震工事の施工に関わるには、一般社団法人日本免震構造協会(JSSI)の資格試験に合格する必要があります。

資格試験は、免震工事に関わる施工計画書の立案などを行う免震部建築施工管理者と、免震建物の免震性能をチェックする免震建物点検技術者があります。

免震部建築施工管理者

免震部建築施工管理技術者は、免震工事に関わる施工計画書の立案、免震部材等の品質管理や免震部工事の施工管理を行うことのできる資格です。
これによって適切な免震性能を確保することができます。

資格の登録有効期間は5年間です。

免震建物点検技術者

免震建物点検技術者は、免震建物に要求される免震性能と性能品質を確保するために、免震層及び免震層廻りの点検を行うことのできる資格です。

資格の登録有効期間は5年間です。

一般社団法人日本免震構造協会
 

地震への備えの工夫を知ろう

地震が頻発する日本だからこそ、技術は進化していきます。
それぞれメリットやデメリットもありますが、いずれも地震に対する技術の進化を正しく把握し、備えは万全にしておきたいものですね。
 

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BUILD編集部

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