2021/02/19更新
新型コロナにも影響する!?注意しておきたいPM2.5について
生活
花粉が飛んでくるとともに、黄砂やPM2.5の飛来も増えてくる時期。
PM2.5は、春の季節によく聞くと思いますが、実際にどういったものなのかご存知ですか?
今回はPM2.5とは何か、人体への影響や注意したいことなどについて紹介します。
PM2.5とは
PM2.5とは大気中に浮遊しているとても小さな粒子です。
大きさが髪の毛の太さの30分の1ほどの2.5μm(マイクロメートル)で、微小粒子状物質とも呼ばれます。
1μmは、1mmの1,000分の1の大きさです。
スギなどの花粉が直径30〜40μm、日本に飛んでくる黄砂の直径は3〜4μmとなり、PM2.5がどれほど小さいかがわかるでしょう。
発生源
PM2.5は、人為起源のものと自然起源のものがあります。
人為起源のものは、焼却炉や自動車、火力発電所、化石燃料など、ものが燃焼することで直接的に排出されます。
ほかにも塗料、接着剤、ガソリンなどを扱う業種から多く排出される、ガス状の大気汚染物質が化学反応によって粒子化したものもあります。
ストーブや調理、喫煙など、家庭からも発生しているのは驚きではないでしょうか。
自然起源のものは、火山や土壌、黄砂などから由来しています。
人への影響とは
微小サイズのPM2.5は、気管支や肺の奥まで侵入してしまうため、気管支炎や肺炎、喘息、肺がんのリスクが高まるなど、特に呼吸器系、循環器系の病気が懸念されています。
PM2.5の濃度が高い場合は、特に呼吸器系・循環器系の疾患のある人や、小児、高齢者などの高感受性者は、体調に気をつけて慎重に行動すよう注意しましょう。
また最近では、京都大学の地球環境学堂のグループが、PM2.5が新型コロナウイルスの細胞内への侵入口を広げることから、新型コロナウイルスを発症しやすくしたり、重症化しやすくすると報告しています。
いつ、どういう時が危険?
PM2.5は年間を通して発生していますが、全国での年平均の濃度値は緩やかに改善している傾向にあるようです。
しかしPM2.5の濃度は、季節や地域などによって異なります。
花粉の季節によく聞くPM2.5は、黄砂とともに飛んでくる中国からの越境大気汚染により、2月から5月の間に特に多くなると言われています。
これは春になるとジェット気流と呼ばれる、一番強い編成風が西日本上空に上がってくることで、中国由来の黄砂やPM2.5が流れてくるため、濃度が上がると考えられています。
PM2.5濃度について
環境基準
環境省では、PM2.5による人への健康影響を考慮し、環境基準を定めています。
“人の健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準”として、PM2.5の1年間の平均値が「15μg/m3以下」であり、かつ1日の平均値が「35μg/m3以下」であることとしています。
また環境基準とは別で、健康影響を及ぼす可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的指針となる値「1日平均値 70μg/㎥」も定めています。
この基準を超えると、各自治体が判断をして、不要不急の外出や屋外での長時間による激しい運動を控えるよう呼びかけられることがあります。
しかし、自治体によって独自の判断方法を設けている場合もあるため、必ずしも注意喚起がされるわけではありません。
PM2.5濃度を確認したい場合は、ウェブサイトで調べてみましょう。
濃度確認方法
環境省の大気汚染物質広域監視システム【そらまめ君】では、PM2.5の現在状況(速報値)を確認することができます。
注意喚起が実施されている都道府県や、地域ごとの大気汚染物質(PM2.5や一酸化窒素、光化学オキシダントなど)の濃度分布図、海外PM2.5モニタリングデータなどを見ることができます。
また、日本気象協会によるPM2.5分布予測や、九州大学で開発している、大気汚染の状況をコンピュータで再現・予測するソフトウェア「SPRINTARS」による、PM2.5や黄砂の濃度を毎日予測し公開しているので、参考にするのもいいでしょう。
*一般財団法人日本気象協会 PM2.5分布予測
*SPRINTARS PM2.5予測・黄砂予測
対策・注意したいこと
ニュースや、テレビの天気予報などでもPM2.5の情報を聞くことはありますが、情報を確認するのはなかなか難しいですよね。
濃度が高いときは外出を控えるのが一番ですが、それ以外にも日頃から注意することで、対策をしていきましょう。
マスク
花粉よりも小さなPM2.5は、それに対応したマスクである必要があります。
マスクを購入するときにPM2.5に対応しているか、表示をしっかりと確認しましょう。
▽マスクの選び方について
換気
新型コロナウイルスの流行により、屋内では換気をすることが大切と言われていますが、PM2.5の濃度が高いときの換気は控えるように呼びかけられています。
特に注意喚起のための暫定的指針となる1日平均値 70μg/㎥を超える場合は、窓を開けての換気は控え、空気清浄機などを利用するのがいいでしょう。
※ 高感受性者は、1日平均値 70μg/㎥以下でも注意が必要です。
またドアの開閉も極力減らし、外気をなるべく屋内に取り込まないようにすることで、PM2.5を体内に取り込んでしまうのを減らせる効果があると言われています。
洗濯物
花粉と同じ、濃度が高いときに外に洗濯物を干してしまうと、衣類に付着してしまう可能性があります。
なるべく室内で干すようにするか、外に干した場合は叩いてから取り込むようにしましょう。
また外に干した洗濯物を取り込む際に、マスクをするもの忘れないようにしたいですね。
空気清浄機
空気清浄機は、機器によってPM2.5に対応していないものでは効果が期待できません。
空気清浄機を購入する前に確認するようにしましょう。
また、空気清浄機を置く場所でも効果が変わってきます。
玄関や、部屋の入り口付近に置くことで、外から入ってきたPM2.5を部屋の中に侵入させるのを防ぐと言われています。
コロナだけじゃない、PM2.5にも要注意
持病などのない健康な大人であれば、PM2.5が実際に人体に及ぼす影響が分かりにくいため、地域によってはそこまで気にしている人は少ないのではないでしょうか。
しかし、新型コロナが流行し、その感染リスクや重症化リスクがPM2.5により高くなる可能性があるとなると、PM2.5も注意したいところ。
これからの季節、PM2.5の濃度が特に高くなる時期なので、気をつけていきたいですね。
参考
*環境省 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
*京都大学 大気汚染が新型コロナ感染症の発症、重症化をきたすメカニズムの一端を解明 -PM2.5が新型コロナウイルスの細胞侵入口を拡大する-
*wethernews 黄砂とPM2.5が死亡リスクを高める!?
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