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2020/08/12更新

アスベスト(石綿)はなぜ危険?危険性と歴史を正しく理解する

仕事

2005年に社会問題になったアスベストによる健康被害問題は、15年たった今でも健康被害に悩まされている人もいる大きな問題です。
アスベストによる肺への時限爆弾的な健康被害を減らすために、国でも2006年には新たな建築物のアスベストの使用を禁止しています。

今回はそんなアスベストの危険性や、アスベストについて詳しく解説していきます。

 

アスベストとは

アスベストは、石綿(せきめん・いしわた)ともいい、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物です。
アスベストを使用した建築素材は、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として、1960年代に多く使用されました。
またアスベストは値段も安く、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能を有していることから、当時は「奇跡の鉱物」とも呼ばれていました。

しかしながら、2005年に農業機械・鉄管等の鋳物製品のメーカーが、1978年度以降に労働者74名が中皮腫などの石綿関連疾患で死亡していたことを明らかにしたことで、事態は急変します。

アスベストは、繊維が極めて細いため、劣化するにつれて粉じんとなって飛散し、長時間空気中を浮遊することが知られています。
空気中に浮遊しているアスベストを人が吸入すると、その一部は痰や咳などに混じって体外に排出されますが、肺まで入り込んだアスベストは、体内で分解・除去することができません。
それが石綿肺や中皮腫、肺がんといった疾患の原因になると考えられています。

アスベストの恐ろしいところは、吸い込んでしまってすぐに疾患が起こるわけではなく、数十年後に中皮腫や肺がんなどの病を発症する原因となることです。
すぐに発症するわけではないことから、アスベストは「奇跡の鉱物」から「静かな時限爆弾」へと変貌していきました。

現在では、アスベストが飛散したり吸い込んだりしないように、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理など様々な法律を定め、予防や飛散防止等が図られています。

 

アスベストが使用されていた箇所

奇跡の鉱物を言われていた時代、アスベストは生活のあらゆるところで使用されてきました。
アスベストの用途は耐火性、断熱性、防音性、絶縁性が優れていることから多岐に渡るのですが、その8割以上は建材製品です。

吹き付けアスベスト

アスベストとセメントを一定割合で水を加えて混合し、吹き付け施工したものです。
吹付け石綿としては、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト以外に、トレモライト石綿も使用されていました。

吹き付けロックウール

1975年に吹き付けアスベストが原則禁止となった以降は、吹き付けロックウールに切り替わっていましたが、1989年ごろまではアスベストを混ぜて使用していました。

アスベスト含有保温材

アスベスト含有保温材は、クリソタイルを使用したものとアモサイトを使用したものがあります。主にアモサイトを使用したものが多く作られました。
これらは化学プラント、ボイラーの本体や配管の保温に使われてきました。

石綿含有摩擦材

主にクリソタイルまたは石綿布を樹脂で固めたものをいいます。
自動車や産業用(クレーン、エレベータ等)のブレーキライニング、ブレーキパッド、クラッチフェーシング、クラッチライニングがあります。
いずれも現在では輸入が禁止されています。

参考:独立行政法人環境再生保全機構

 

法律の改正

現在、アスベストを含む建材(特定建築材料)がわずかでも使用されているすべての建築物・工作物は、大気汚染防止法の18条の15第1項及び第2項の規定による特定粉じん排出等作業の実施の届出が必要です。

また解体工事については、環境確保条例124条第1項の規定による飛散防止方法等計画の届出も必要です。

  • 建築物等の壁面、天井その他の部分(鉄骨・梁・柱などを含む)に使用されている石綿含有の吹付け材の面積が15平方メートル以上あるもの
  • 延べ面積または築造面積500平方メートル以上の建築物・工作物のうち、石綿含有の吹付け材又は保温材等を使用しているもの

解体工事の発注者は、大気汚染防止法及び環境確保条例ともに対象工事を開始する14日前までに、市区町村の環境課へ届出を提出することが義務付けられています。

 

危険性を正しく理解しよう

現在アスベストを使用している建築物を新たに立てることはできませんが、いまだにアスベストが引き起こす病に悩まされている人がいます。
アスベストを使用している建築物の解体工事に携わる場合は、自分自身を守るためにも十分に対策を行いましょう。

 

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BUILD編集部

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