2020/04/17更新
知らなかったじゃすまない!有害物質・六価クロムの危険性とは
仕事

地盤改良工事を行う際に気をつけなくてはいけないのはアスベストのほかにも、六価クロムという有害物質があります。
アスベストと並ぶ2大発がん性物質の六価クロムは、現在環境基準法や土壌汚染対策法などで含有量などが厳しく規制がかけられています。
今回は、六価クロムがなぜ危険だと言われているのか、どのような症状を引き起こしてしまうのかを解説します。
六価クロムとは
六価クロムのクロムとは、銀白色の光沢のある耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れた金属で、ステンレス鋼の重要成分として利用されています。
クロムの酸化状態が+3のものを、3価クロムといい、これは人間の必須ミネラルのひとつでもあります。
6価のクロム(六価クロム)は強い酸化剤で金属メッキ、皮なめし、顔料などに広く用いられてきました。
しかし1973年、東京都江東区の土地に埋められていたクロム鉱滓から、六価クロムを含む黄色い有毒水が浸出して大きな社会問題になりました。
現在では、国際がん研究機関でも指定されている発がん性物質です。
日本では、かつて地盤強化剤という名目で、埋立地の地盤の弱い地域にクロムスラグを埋め立てることが奨励されていたことなどから、汚染されている土地が今に至るまであり、現在進行形の公害問題でもあります。
六価クロムの危険性
六価クロムの起こす中毒症状として、右の鼻の穴と左の鼻の穴の間にある壁に穴が開くという鼻中隔穿孔のほか、肺がんやかゆみを伴う赤いぶつぶつが体全身に発生する感作性皮膚炎などがあります。
主に気道障害を引き起こすことが知られています。
2000年にジュリア・ロバーツの主演で公開された映画「エリン・ブロコビッチ」という映画は、六価クロムをめぐる実際にあった事件を元に映画化されたものです。
この六価クロムの恐ろしいところは、クロム化合物の種類の3価クロムには有害性はなく、むしろ人体に欠かせない物質でもあることです。
現在に至るまで、六価クロムの活性原因がはっきりとはわかっていないこともあり、非常に危険な物質とされています。
法律の改正
有害物質である六価クロムの主な規制として、水質汚濁防止法においては、「0.5mg/L以下」、RoHS指令(有害物質使用制限令)においては、一切含まないことなど、厳しく規制されています。
現在ではセメントを固める凝固剤やセメントに混ぜる土などからも有害物質が出る可能性があるとして、地盤改良工事の際には六価クロム溶出試験をするように言われています。
しかし六価クロムに汚染された土壌が検出されて行政の対策要請があるにも関わらず、費用がかかるなどの理由から放置している例があるなど、今なお社会的な問題を抱えています。
危険性を正しく知ろう
六価クロムが危険だと分かりつつも放置している現場があるなど、私たちの意識が試されています。
地盤改良工事を行い、安心してその土地に暮らしてもらえるように、ひとりひとりの意識から変えていきましょう。