2023/07/18更新
無自覚にやっていない?増え続けるハラスメントの種類と事例
仕事
会社内での立場を利用した嫌がらせという意味で使われる「パワーハラスメント(パワハラ)」。
この言葉が広く知られるようになったことで、パワハラ防止対策や、相談窓口が設置されるなど、パワハラを防止する動きが多く見られるようになりました。
パワハラという言葉が多用されるようになってから、その定義も広く曖昧になってきたように感じます。
そして、数多くのハラスメントが増えていることから、気をつけていても気づかないうちにハラスメントになってしまっていることもあるのではないでしょうか。
今回は、パワハラやハラスメントの種類とその事例について紹介します。
目次
パワハラの種類
パワハラには大きく6つの種類があります。
身体的侵害
殴る、蹴る、叩く、物を投げつけるなどの暴力行為はパワハラになります。
紙を丸めたものやメガホンのようなもので頭を叩く行為も、軽い気持ちでやってしまいがちですがパワハラです。
精神的侵害
脅迫や人格の否定、暴言などはパワハラです。
また、必要以上に長時間叱責することや、人前で大声で叱責するなどの行為も精神的侵害にあたります。
人間関係からの切り離し
無視や仲間はずれのような人間関係からの切り離しはパワハラです。
全体の飲み会や食事会に誘わない、挨拶をしない(無視する)など、集団から孤立させるような行為は行ってはいけません。
過大な要求
明らかに達成不可能な目標や、一人では到底できないような量の仕事を強要したり、就業時間間際に過大な仕事を押し付けるといった行為もパワハラになります。
スキルアップのため、現状より少し高いレベルの仕事を任せるといった範囲であれば、パワハラにはなりません。
過小な要求
過大な要求とは逆に、能力に見合わない単純作業ばかり押し付けたり、嫌がらせのために仕事を与えない、過小な要求もパワハラとなります。
能力に応じて仕事の量や内容を調節しましょう。
個の侵害
私的なことに過度に立ち入る行為はパワハラです。
結婚をしつこく薦めたり、病歴や宗教・信条のような個人情報を了解を得ずにバラす行為もこの侵害とされます。
個人情報を話す必要がある場合は、本人の了解を得て、必要な人に配慮を持って伝えましょう。
パワハラだけじゃない!ハラスメントの例
日常生活で起こりやすいハラスメントは、パワハラだけではありません。
一般的に定義づけられているものだけで数十種類もあると言われていますが、今回は一部のものを紹介します。
セクハラ
性的な嫌がらせや不快感を与える発言を行うことは、セクシャルハラスメント(セクハラ)です。
パワハラと同様に社内で問題になりやすいハラスメントの1つです。
男性女性問わず、恋人の有無などについてのプライベートのことや、ボディタッチがセクハラにあたります。
また、冗談や面白半分で言った下ネタなどもセクハラになってしまうことがあります。
【具体例】
- 恋人がいるのかを聞いたり、恋人との関係を聞く
- ボディタッチをする
- 下ネタや卑猥なことを言う
アルハラ
アルハラはアルコールハラスメントの略です。
社内の飲み会の席で、上下関係を利用してアルコールを強要したり、イッキ飲みをさせたりといった行為がアルハラになります。
度が過ぎるアルコールの強要は、急性アルコール中毒などの危険があり、命に関わる問題になりかねないので注意しましょう。
【具体例】
- 社内の飲み会などでアルコールを強要する
- イッキ飲みをさせる
- お酒を飲めない人に強要する
スモハラ
スモーキングハラスメント(スモハラ)は、喫煙者が非喫煙者に対して行う嫌がらせのことです。
非喫煙者がいる場で、配慮なくタバコを吸ったり、タバコを強要したりするとスモハラになります。
また、タバコ休憩の時間が異常に長い、回数が多いなどもスモハラになってしまう場合があるので注意しましょう。
反対に、非喫煙者がルールを守って喫煙をしている人に対して禁煙を強要する、喫煙に関して厳しく叱責するなどは、逆スモハラになります。
【具体例】
- 飲みの席や車内で、非喫煙者もいる中タバコを吸ったり、非喫煙者に強要する
- タバコ休憩が多い、タバコ休憩の時間がやけに長い
- 喫煙者から漂うタバコの匂い
- 歩きタバコをする
- 対策をしている喫煙者に対して非喫煙者が禁煙を強要する
マタハラ
マタニティハラスメント(マタハラ)は、妊娠をしている人や出産をした人に対して行う嫌がらせのことです。
産休や育休などの制度の申請や利用することに対して、降格させたり、仕事を与えない、不利な配置転換や、契約の更新をしない、過度な仕事を与えるなどして通院の妨げをするなどは、マタハラになります。
また男性でも育児休暇取得や時短勤務などにより、不利益な扱いを受けた場合でもパタ二ティハラスメント(パタハラ)になります。
同じく、介護での休業や時短勤務などを理由に不利益な扱いを受けた場合は、ケアハラスメント(ケアハラ)となります。
【具体例】
- 仕事を過度に与え、妊婦検診などの通院の妨げをする
- 通院や、産休前などを理由に仕事を与えない
- 出産を理由に、契約の更新をしない
- 育児・介護休暇や時短勤務などを理由に、不利益な配置転換をする
- 「男が育児(または介護)をするのか」「育児や介護で残業しなくて羨ましい」などと言う
モラハラ
モラルハラスメント(モラハラ)は、言葉や態度で精神的に追い詰めるなどする、人権を傷つけるなどの嫌がらせのことです。
業務中に無視をしたり、気が合わないからと避ける、相手を巧妙に支配するなどは、モラハラになります。
仕事内容で質問をしても前の資料を見てなどと言って教えない、仕事を過度に与えるまたは与えないなど「大人のいじめ」で精神的な暴力(虐待)がモラハラにあたります。
相手のためを想って指導しているという気持ちが強く、自覚なくモラハラをしてしまっていることもあるため、注意が必要です。
職場だけでなく、カップル間や家庭内でもおこっていることも多くあり、モラハラはDV(ドメスティックバイオレンス)にあたります。
【具体例】
- 無視をしたり、わざと避ける
- 聞こえるように悪口を言う
- 残業になるくらいの仕事を押し付ける
- 業務内容を聞いたり、質問をしてもしっかりと答えない
ジタハラ
時短ハラスメント(ジタハラ)は、働き方改革で残業の削減をするため、定時で帰宅するように強要するなどのことです。
業務量は変わらずに、業務時間だけが短くなったことにより、自宅でサービス残業をしないといけなかったり、仕事を業務時間内に終わらせられなかったことで上司に文句を言われるなどは、ジタハラにあたります。
ジタハラを減らすには、会議にかかる時間なども含めた業務量の見直しや、人員を増加して個人の業務量を減らすなどの対策が必要になります。
【具体例】
- 働き方改革により、残業をするなと強要する
- 残業をしたことで上司に文句や嫌味を言われる
- 業務量は変わっていないのに、働き方改革でサービス残業をせざるおえない
最近のハラスメントの例
コロナハラスメント(コロハラ)やワクチンハラスメント(ワクハラ)などのように、ここ最近聞くようになったハラスメントの例です。
リモハラ
リモートハラスメントは、在宅ワークなどの環境下でオンラインを介した嫌がらせのことです。
リモート会議中に家の中について指摘したり、家の通信ネットワーク環境についての苦情や私費での改善要求、在宅ワークの業務状況についての過度な監視などがリモハラにあたります。
【具体例】
- 通信環境がよくないと、改善を強要する
- 会議や連絡時など、常にカメラをつけさせる
- 服装についてや、メイクに関して指摘する
- 家の中が広いと発言したり、飾ってあるものを話題にする
テクハラ
パソコンやスマートフォンなどの使い方に慣れていなかったり、詳しくない人に対して詳しい人が嫌がらせをすること。
専門用語をわざと多様して説明する、できない人に対して「そんなことも知らないのか」と責めるなどは、テクハラにあたります。
「できるのが当たり前」「スキルを身につけようとしないのが悪い」のような考えは、テクハラにつながりかねないので注意しましょう。
【具体例】
- 「そんなこともできないのか」と言う
- わざと専門用語を使って説明する
- PC作業が苦手な人に対してわざとPCを使った難しい作業をさせる
ジェンハラ
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)は、性別の差別や、性別に関する嫌がらせのことです。
「女性だから」や「男性のくせに」などと作業の役割を決めつけたり、その人の行為や態度を指摘したり、悪口を言うなどはジェンハラにあたります。
また男女の差別だけでなく、LGBTの人に対しての差別発言なども同じです。
LGBTに対しての理解が乏しいことから、ジェンハラになってしまうことがあります。
その気はなくて言ってしまった言葉でも、その人を傷つけ、ジェンハラになってしまいかねません。
【具体例】
- 女性だからとお茶汲みをさせる
- 男性だからと力仕事を強要する
- 男性のくせにと言葉遣いをバカにする
- 女性はスカートを履くように強要する
- 女性は子供ができたら休みが多くなるから管理職にはできないと言われる
知らないうちに加害者にならないよう注意!
パワハラなどのハラスメントは職業や会社の昔からの雰囲気などで、当たり前のように横行していたり、当事者が悪気なく行っていたりする場合があります。
しかし、むやみに人を傷つけたり、不快感を与えたりすることはあってはならないことです。
かといって、何かにつけて「ハラスメントだ」とすぐに言う行為も、ハラスメントハラスメント(ハラハラ)になります。
お互いに思いやりを持って接することを心がけ、無意識のうちに自分がハラスメントをしていないか、今一度見直してみましょう。
BUILDのSNSをフォローして
最新情報をチェックしよう!