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2023/04/05更新

取得しやすくニーズも高い!?有機溶剤作業主任者資格について

仕事

 
建設現場ではさまざまな資材を使用しますが、塗装工事・防水工事の際に有機溶剤を使っている場面を見たことがある人もいるのではないでしょうか。

もし、屋内作業場などで有機溶剤を使う場合は、必ず有機溶剤作業主任者を選任しなければなりません。

そこで今回は、有機溶剤作業主任者についてや、資格の取得するメリット、資格に関してを解説していきます。
 

有機溶剤とは?


 
有機溶剤とは、炭素水素酸素で形成された常温の液体です。

建設現場では、塗装工事や防水工事などで使用されることが多いです。

有機溶剤は、油脂に溶けやすい(脂溶性)常温で蒸発しやすい(揮発性)といった特徴があります。

また、有機溶剤は燃えやすいため、火災が発生しないように気をつけなければなりません。
 

規則の対象となる有機溶剤

 
有機溶剤は数多くありますが、取り扱いに関する規則が定められる有機溶剤中毒予防規則の対象になるのは54種類です。

代表的な有機溶剤として「クロロホルム」「アセトン」「ガソリン」などがあげられます。

有機溶剤は、中毒症状を起こしたり、ヒトに対しておそらく発がん性があると言われているものもあり、とても危険性が高く、取り扱いに注意しなければなりません。

*参照元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 有機溶剤を正しく使いましょう
 

有機溶剤の危険性とは

 
有機溶剤の持つ、脂溶性と揮発性による危険性は下記のとおりです。

脂溶性
  • 有機溶剤が皮膚に付着し吸収されることで、皮膚に痛みや炎症が生じる

 

揮発性

  • 有機溶剤を口や鼻から吸収してしまい「めまい」「だるさ」「頭痛」「吐き気」などの中毒症状を引き起こしてしまう
  • 最悪の場合、呼吸ができなくなり意識を失うおそれもある

 
このように、有機溶剤の取扱方法を誤ると人体に悪影響を及ぼしてしまいます。

そのため、有機溶剤が皮膚に付着しないようにするために保護手袋・保護衣を着用したり、目に入らないようにするために保護メガネを着用したりする必要があります。

口や鼻から有機溶剤を吸収するのを防ぐため、呼吸用保護具を着用して作業するのも安全対策の一つです。

また、有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤以外を取り扱う場合でも、作業場所や内容によって、適切な安全対策を施すことが大切です。

作業開始前までには必ず、安全データシート(SDS)を確認し、危険有害性を把握しておくようにしましょう。

さらに、有機溶剤等健康診断が有機溶剤中毒予防規則第29条で定められています。

雇入れ時・定期・有機溶剤等健康診断を実施する必要があるため、忘れずに受けましょう。

*参照元:e-GOV 昭和四十七年労働省令第三十六号 有機溶剤中毒予防規則
 

有機溶剤作業主任者とは?


 
屋内作業場、マンホール・坑・ずい道の内部、船舶の内部、車両の内部などの屋内作業場等で有機溶剤業務を行う場合は作業主任者の選任が必須となります。
 

有機溶剤作業主任者の業務内容

 
有機溶剤作業主任者が行う業務は、まずどのように有機溶剤業務を行うかを決定し作業員を指揮することです。

有機溶剤業務を行う際は、決められた保護具をきちんと着用しているかの監視も行います。

タンク内部での作業では、有機溶剤中毒防止措置が講じられているかを確認しなければなりません。

また、局所排気装置・プッシュプル型換気装置・全体換気装置を1カ月を超えない期間ごとに点検することも重要な業務です。
 

危険物取扱者との違い

 
有機溶剤の中には、消防法で「危険物」に指定されているものもあります。

たとえば、危険物に指定されている有機溶剤は「二硫化炭素」「メタノール」「ガソリン」などがあげられます。

有機溶剤作業主任者は、指定数量以上の有機溶剤を保管したり管理したりすることはできず、危険物取扱者が行わなければなりません。

有機溶剤作業主任者が行う業務は、現場で有機溶剤を安全に使うための指揮であると覚えておきましょう。
 

有機溶剤作業主任者になるメリット

有機溶剤は危険性を伴うため、取り扱いには十分注意しなければなりません。

そのため、有機溶剤作業主任者は必置資格と呼ばれる、事業を行う際に必ずその企業に該当資格者を置かなければならない設置義務資格の一つになります。

有機溶剤業務を行う場合に必ず1人、もしくは複数人の資格保有者を置いておかなければならないため、ニーズのある資格といえるでしょう。

有機溶剤作業主任者になると、下記のようなメリットがあります。

  • 有機溶剤について正しい知識を持っていることで、周囲からの信頼を得られる
  • 建設現場での実務経験がなくても取得できるため、未経験でも活躍できるチャンスが増える
  • 危険物取扱者の場合、有機溶剤作業主任者であれば有機溶剤業務の指揮と危険物の管理・保管を同時に行える
  • 給与が上がる可能性がある
  • 就職・転職で有利になる場合もある

 
有機溶剤業務を行う際は、常に作業員の安全に意識を向けなければならないため、有機溶剤作業主任者は責任のある立場の人となります。

ただ、資格取得する難易度はそこまで高くありません。
資格取得しやすくメリットもあるので、取って損のない資格といえます。
 

技能講習を受講しよう


 
有機溶剤作業主任者になるためには、有機溶剤作業主任者技能講習を受講し修了しなければなりません。
 

資格の取得方法

 
建設業労働災害防止協会などが開催している有機溶剤作業主任者の技能講習を受講することで資格を取得できます。

厚生労働省の公式ホームページから、都道府県ごとの登録教習機関が確認できるため、会社・現場・自宅から近い場所で受講できます。

*参照元:厚生労働省 登録教習機関一覧(都道府県別)
 

受講資格

 
建設現場での実務経験や取得している資格に関係なく、18歳以上であれば誰でも講習を受講できます。
 

講習内容

 
有機溶剤作業主任者技能講習は、学科講習のみで実技講習はありません。

学科講習は2日間あり、講習内容と講習時間は下記のとおりです。

  1. 健康障害及びその予防措置に関する知識:4時間
  2. 保護具に関する知識:2時間
  3. 作業環境の改善方法に関する知識:4時間
  4. 関係法令:2時間
  5. 修了試験:1時間

 
すべての科目を受講し、修了試験に合格した場合に修了証をもらえます。

*参照元:公益社団法人 東京労働基準協会連合会 有機溶剤作業主任者技能講習のご案内
 

難易度

修了試験は、講習の内容を聞いていれば解答できる問題が出題されるため、あらかじめ勉強が必要ということはありません。

講習の中で疑問に感じたことや不明点を修了試験前に質問しておけば、理解できるものが多いです。

不合格となってしまうことはほとんどないため、有機溶剤作業主任者技能講習を修了するのは比較的易しいといえます。
 

有機溶剤作業主任者になろう

建設現場では、特に塗装工事・防水工事を行う際に有機溶剤作業主任者は大きく活躍できます。

現場での実務経験が浅い場合でも、技能講習を受講することで資格がゲットできるのが有機溶剤作業主任者の魅力です。

難易度も易しく誰でも挑戦できる資格の一つであるため、ぜひ資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
 
 

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この記事を書いた人

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