2021/05/27更新
薬代が多い!?申請しないと損するセルフメディケーション税制について
生活
年末になると、年末調整の手続きや、来年の確定申告申請に向けての準備で動き出す頃ですね。
一般的な会社に勤めている人は確定申告の必要はありませんが、今年1年間に医療費や薬代をたくさん支払っていた場合、医療費控除を申請しないと損してしまいます。
特に今年、コロナ禍でなかなか病院に行くことはできなかったけど、ドラッグストアで風邪薬を買うことが多かった人は、セルフメディケーション税制を申請できる可能性があります。
そこで今回は、セルフメディケーション税制とは何か、申請基準や方法、必要書類などを簡単に紹介します。
セルフメディケーション税制
1年間に支払った医療費や医薬品購入額が、一定額を超えた場合に所得から控除を受けられる、医療費控除があります。
医療費控除の中でも2017年から始まった、ドラッグストアなどで購入した特定の医薬品購入費用の所得控除を受けることができる、セルフメディケーション税制について聞いたことがあるのではないでしょうか。
セルフメディケーション税制とは
2017年(平成29年)から新しく開始された、医療費控除の特例制度になります。
自分(本人)もしくは、自分と生計を共にしている家族が薬局などで購入した、特定の医薬品の合計額が2017年以降の1月1日から12月31日までの1年間に、1万2千円を超える支払いがあった場合に受けられる制度です。
制度を受けるには、申請をする年に定められた基準を満たしており、確定申告の提出または電子申告(e-tax)での申告で利用できます。
*国税庁 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
医療費控除との違い
医療費控除は、医療費やその治療のために購入した医薬品の合計が10万円以上または総所得金額の5%以上になった場合に申請して受けられる制度です。
セルフメディケーション税制と医療費控除は同時に申請することができません。
どちらか一方を選択する必要があります。
医療費控除について
*医療費が多くかかったら!申請しないと損する医療費控除を簡単解説
申請基準
セルフメディケーション税制を利用する場合は、適用を受けるための要件があります。
対象品目
厚生労働省が指定した特定一般用医薬品(スイッチOTC医薬品)を年間に1万2千円以上購入した場合に制度を利用することができます。
対象商品は一覧で確認できたり、商品の一部はマークで確認することができます。
*セルフメディケーション税制 共通識別マークについて
*厚生労働省 対象品目一覧
対象商品の含まれるレシートは、申請時に必要となるので必ずまとめて保管しておきましょう。
健康のための取り組み
セルフメディケーション税制を受ける人は、申請する年に一定の取組を行っていることが要件となっています。
一定の取組とは、健康の保持増進や疾病の予防に取り組んでいるかという証明が必要となります。
例えば、会社で毎年実施される健康診断を行っていて、その領収書や通知結果があれば申請することができます。
一定の取組に該当するもの
- 健康保険組合や市区町村国保などが実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診など)
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者などを対象とする健康診査)
- 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
- 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
- 特定健康診査(メタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
領収書や結果通知書などの証明をする書類は、被保険者名、保険組合などの名前、勤務先名が記載されている必要があります。
結果通知書の場合は、結果部分を黒塗りまたは切取りなどをしたコピーで申請できます。
一定の取組を明らかにする書類の具体例についてはこちら
*国税庁 No.1134 取組を行ったことを明らかにする書類の具体例
上記を受診した領収書や結果通知書は、まとめて保管しておきましょう。
控除額と減税額
セルフメディケーション税制で控除を受けられる額の算出方法は簡単です。
特定一般用医薬品を購入した合計金額から1万2千円を引いた額が控除額(上限8万8千円)となります。
課税対象となる所得からセルフメディケーション税制控除額分が引かれた金額に対して所得税がかかることになります。
所得からセルフメディケーション税制控除額分が引かれることにより、支払った所得税、住民税は払い過ぎとなるため、申告をすることで払い過ぎた分の税金が返還されることになります。
減税額の算出方法は、セルフメディケーション税制控除額から所得税率または住民税率(10%)を掛けて計算します。
セルフメディケーション税制控除額 × 住民税率(10%) = 住民税の還付金(目安)
例
20,000円 ー 12,000円 = 8,000円(セルフメディケーション税制控除額)
総所得金額400万円の場合、所得税の税率は20%*、住民税は10%となります。
8,000円 × 20% = 1,600円(所得税の減税額)
8,000円 × 10% = 800円(住民税の減税額)
* 所得税の税率は、総所得金額によって異なります。詳しくは以下から確認してください。
*国税庁 No.2260 所得税の税率
申請方法
申請方法は「セルフメディケーション税制の明細書」を所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に提出します。
セルフメディケーション税制の明細書はパソコンやスマートフォンで作成することができ、作成後そのまま申告することもできます。
申請に必要な書類
通常確定申告の必要のない一般的な会社員が、セルフメディケーション税制を受けるために確定申告をする場合、以下の書類が必要となります。
提出書類
- 確定申告書(申請書A)
- セルフメディケーション税制の明細書
- 源泉徴収票
確定申告書は、国税庁のホームページよりダウンロードして郵送する方法や、e-Taxを利用してパソコン上やスマートフォンから申請する方法などがあります。
e-Taxの場合、確定申告書やセルフメディケーション税制の明細書などは以下から作成できます。ただし、e-Taxを利用する場合、事前準備が必要となります。
*国税庁 「確定申告書等作成コーナー」作成コーナートップ(e-Tax)
また書類申請後、保管しておかなければならない書類があるので注意しましょう。
- 対象品目の含まれたレシート
- 一定の取組を証明するもの(領収書や結果通知書など)
- 源泉徴収票(平成31年(2019年)4月1日以降)
セルフメディケーション税制の明細内容を確認するため、税務署からレシートの提示又は提出を求める場合があります。
そのため確定申告から5年間は、レシートを自宅で保管する必要があります。
平成31年(2019年)4月1日以後、源泉徴収票については確定申告書申請時に添付や提出する必要がなくなりました。
しかし、書類作成時や税務署へ行く場合に必要となるので、保管しておく必要があります。
申請書の作成手順
準備するもの
- 対象品目の含まれたレシート
- 一定の取組を証明するもの
- 源泉徴収票
- 身分証明書
- マイナンバーカード
- 銀行口座情報
- 印鑑
- 手順1
1月1日から12月31日までに支払った対象品目の含まれたレシートをまとめておきます。
また、一定の取組を証明するものも準備しておきます。 - 手順2
セルフメディケーション税制の明細書を作成します。*国税庁 セルフメディケーション税制の概要・手続きなど(明細書様式など)
- 手順3
確定申告書Aを作成します。確定申告書の様式は、以下のページにある「3 確定申告をする場合に使用する申告書の種類」からダウンロードできます。
*国税庁 No.2020 確定申告
申請期間
所得税などの確定申告の期限は、2月中旬から3月15日ごろまでに申告、納税が必要となります。
しかし、通常確定申告書を提出する義務がなく、セルフメディケーション税制のために申告を行う場合は、還付申告という申告になります。
還付申告書の申請期間は、確定申告期間にかかわらず、翌年の1月1日から5年間提出できます。
医療費控除とどちらを選ぶ?
セルフメディケーション税制と医療費控除はどちらか一方でしか申請ができません。
もし両方とも申請ができる場合、少し面倒でもどちらの方が減税額が大きいかを計算してから申請するのがポイントです。
またセルフメディケーション税制対象の医薬品の中でも、治療のための薬代は療費控除の対象にもなるので注意しましょう。
医療費控除についてや、控除額の算出について
*医療費が多くかかったら!申請しないと損する医療費控除を簡単解説
1年間に薬代が多くかかった人は、医療費控除の申請をしないと損してしまいます。
今年はレシートや健康診断の結果は捨ててしまったなどという人は、来年からはしっかりと
病院や薬局などで支払った領収書を全てまとめておくように心がけましょう!
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