2020/08/17更新
経口補水液?スポーツドリンクとの違いを理解して熱中症を予防しよう
健康

外の現場での作業は、日差しが強く当たっていて、特に夏場は暑く、汗が止まらないですよね。
脱水症状や熱中症を引き起こさないためにも、暑さ対策や水分補給が大切です。
熱中症予防での水分補給として、スポーツドリンクと経口補水液がありますが、その違いやどちらを飲んだ方がいいか、知っていますか?
ここでは、経口補水液についての解説やスポーツドリンクとの違い、作り方などを紹介します。
しっかりと理解して、正しい水分補給をしましょう。
経口補水液とスポーツドリンク
経口補水液とは
経口補水液は脱水症状になったときに飲むことを目的とした飲み物です。
脱水で失った水分とミネラルを素早く補うために、水に塩と砂糖がバランスよく配合されてできています。
成人男性は、体重の約60%が水分(体液)でできており、体内の水分は一定に保たれています。
汗や発熱・下痢などの理由で水分が
- 1%失われると喉の渇きを感じる(軽度)
- 5%失われると脱水・熱中症の症状が現れる(中等度)
- 10%失うと筋肉のけいれん、意識障害、臓器への血液循環が悪くなる循環不全が起こる(重度)
- 20%失うと死に至る恐れがある
と言われています。
こういった症状が出た場合に、体内に素早く水分を取り込む必要があります。
経口補水液は、体液よりも糖分の濃度を低くして「浸透圧」で効率よく水分が吸収されるようにできてきます。
糖分が多く含まれたジュースなどの清涼飲料は、小腸で水分を吸収する際に、高い糖質濃度を下げてから吸収します。
小腸から水分を出し濃度バランスを調整してから吸収するため、脱水症状が出た時に清涼飲料を飲むのは、あまり適切ではありません。
また、体液にはミネラルと呼ばれる栄養素が含まれており、ミネラルの中でも「電解質」という、水に溶けると電気を通す物質があります。
電解質は主に、ナトリウムやクロール(塩素)、カルシウム、マグネシウムなどがあり、これらは細胞や筋肉、血管の働きや水分調整などをしているため、電解質のバランスが崩れてしまうと、発熱や筋肉のけいれんなどの症状が起こります。
電解質のバランスを取り戻すために、主なミネラルにあるナトリウム(Na)とクロール(Cl)が結合した塩化ナトリウム(NaCl)と呼ばれる「塩」が経口補水液にはスポーツドリンクよりも多めに含まれています。
スポーツドリンクとの違い
スポーツドリンクは、日常生活で失われた水分やミネラル、ビタミンなどを補うための飲料のことです。
効率よく水分を吸収するための糖分濃度はあまり変わらないものもありますが、脱水症状が出る前に飲むことを目的としているため、経口補水液よりも塩分量が少なめになっています。
脱水症状が起きる前に、喉が渇いたときや運動前後、汗をかいたときなどのこまめな水分補給にスポーツドリンクが適しています。
また市販されているペットボトルのスポーツドリンクによっては、ビタミンが含まれていたり、飲みやすくするため糖質が多めに含まれていたり、カロリーを気にしている人向けに、糖質が含まれていないものもあります。
飲み過ぎ注意
経口補水液とスポーツドリンクには塩分と糖分が含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。
飲み過ぎることにより、糖分・塩分の過剰摂取になり、電解質のバランスが崩れ、高血圧、高血糖、動脈硬化、脳卒中、などに繋がりやすかったり、肥満や虫歯などにもなりやすくなってしまいます。
大塚製薬の「経口補水液OS-1」では、摂取状の注意として
成人は500~1000mL(g) /日
としています。
経口補水液やスポーツドリンクは、ただ飲んでいればいいということでもなく、正しく適度な量を飲むようにしましょう。
脱水症状の見分け方
1日に必要な水分摂取量は、
飲み水から1.2リットル
最低でも必要とされています。
長時間、外で作業を行う場合は特に注意が必要で、こまめに水分を摂らないと脱水症になってしまう可能性があります。
厚生労働省では、職場における熱中症の予防について、
身体作業強度等に応じて必要な摂取量等は異なるが、(中略)スポーツドリンク又は経口補水液等を、20~30分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することが望ましい。
と呼びかけています。
また外での作業をしていない場合でも、夏バテや二日酔いなどがあると、気がついていなくても脱水症になっていることがあります。
簡単なセルフチェックで、脱水症になっていないかチェックしてみましょう。
- 爪の色で確認
- 手の甲で確認
- トイレの回数で確認
爪の色が白くなるようにギュッと押して離したあと、ピンク色に戻るまで3秒以上かかる
手の甲をつまみ上げて離したあと、伸びた皮膚がすぐに戻らない
尿の回数がいつもより少なく、色が濃い
参考:厚生労働省 職場の安全サイト
日本医師会 日医ニュースNo.415「かくれ脱水に注意ー自分でできるセルフチェック方ー」
上記の症状がある場合は、脱水の可能性があります。
また、頭がボーッとしたり、喉の渇きが気になったり、体のだるさなどがある場合も脱水症の可能性が考えられます。
セルフチェックに1つでも当てはまるときは、水分補給をし、症状が良くならない場合は医療機関へ相談しましょう。
特に脱水症や熱中症になりやすい作業現場では、常に自分の体調の変化に気をつけて、こまめな水分補給が大切です。
経口補水液・スポーツドリンクの作り方
小腸で水分を吸収しやすい糖質濃度は4%〜8%と言われています。
また、熱中症対策で推奨されている塩分量は
少なくとも、0.1~0.2%の食塩水又はナトリウム 40~80㎎ /100㎖
と言われています。
基本的な経口補水液の材料
- 水1リットル
- 砂糖(上白糖)40gまたは大さじ3
- 塩 3gまたは小さじ1/2
塩と砂糖だけの基本的な経口補水液は飲みにくいので、スポーツドリンクのようにレモン汁などを足すことで、飲みやすくなります。
飲みやすくしたスポーツドリンクの材料
- 水1リットル
- 砂糖(上白糖)40gまたは大さじ3
- 塩 3gまたは小さじ1/2
- レモン汁 50mlまたは大さじ3
作り方
- 水に材料を全て入れ、完全に溶けるまで良く混ぜて完成。
好みで、砂糖を蜂蜜大さじ2にしたり、砂糖の量を20g(小さじ4)に減らしたり、フルーツ酢やカットしたフルーツを入れたり、水を紅茶にするなどのアレンジもできます。
▽スポーツドリンクの作り方
正しく水分補給!子供も飲めるスポーツドリンクアレンジレシピ
市販のペットボトルなどとは違い、無菌状態では作れないので、手作りの経口補水液/スポーツドリンクは、必ず冷蔵庫で保管をして、24時間以内に飲み切るようにすると安心です。
正しく飲んで健康に
経口補水液は、脱水症状があるときに飲み、スポーツドリンクは、脱水症状や熱中症予防のために飲むのが一般的です。
体調の変化に注意して、こまめに水分を取り、万が一脱水症状が出ていると思ったら、経口補水液を飲んで様子をみるようにしましょう。
経口補水液・スポーツドリンクを正しく飲んで、夏の現場でも無理なく健康に過ごしてくださいね。
▽熱中症対策について
▽暑さ対策グッズ
参考
厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動
厚生労働省 職場における熱中症の予防について
厚生労働省 職場の安全サイト
大塚製薬 身体をつくり、身体を動かす「電解質(イオン)」
大塚製薬 経口補水液OS-1 基本情報
日本医師会 日医ニュースNo.415「かくれ脱水に注意ー自分でできるセルフチェック方ー」
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